ノーマンの住むところ

藍月隼人

目覚め

これは、人生の記録。


これから訪れるかもしれない誰かの、助けになる事を願って、記しておこうと思う。


それは、何の前触れもなく始まった。お酒を飲み過ぎて記憶をなくし、目が覚めたときのような。


気付いた時には始まっていて、突然未開の荒野に放り出された感じ。


とはいえ、荒野というほど広くはない。


引っ越したばかりのワンルームのような、窓のない空っぽの部屋に自分だけがポツンと存在していた。




ただ、なんて言ったらいいか。


まるで夢の中のようで、意識は存在するのだが、自分の手や足は見えなかった。


感覚はあるのに鏡がないと自分の顔がどんなかわからないのと似ている。


それまで自分がどこで何をしていたのか記憶がない。空が青いことや、夜が暗いことは知っているのに、意識を失う前後が空白なのだ。


まずは、自分の身に何が起こったのか、状況を把握しようと努めた。


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