取り敢えず今日を生きる

 それからまた、しばらくの時間が過ぎた。相変わらず沙夜はいたり、いなかったりを繰り返した。それに応じて、僕の生活も1日ごとに変わってくる。


 沙夜がいる日はすぐに帰ってきて、彼女との時間を楽しんだ。


 沙夜のいない日は、ただ惰性に、過ぎ去っていく時間を眺めていた。


 むしろもっと早く、時間が過ぎればいいと思いながら生活していた。


 早く明日になってくれと。


 沙夜がいる日は、もう少し今日が続いてくれと。


 そんなことを1日ごとに思いながら、僕は日々を過ごしていた。


 そして、その日。


 目を覚まして真っ先に理解したのは、今日は沙夜のいない日だということだった。


「……ねみぃ」


 昨日沙夜と夜遅くまで長話をしていたせいか、ひどい寝不足だった。とてもじゃないが起きれそうにない。


「まあ、いいか…」


 起こしてくれる人もいないせいで、僕はあっという間に二度寝を敢行した。再び目を覚ました時には、朝食を食べている暇もないくらいのギリギリの時間だった。


「………まあ、いいか」


 いいわけあるか。


 僕はだるい体を叩き起こして、すぐに家を出る準備をする。


「ふ、あ、ぁ…………………っあぁ!」


 大きな欠伸をしながら、服を着替える。沙夜のいない日はもはや、なんとなくで過ごしている。やる気もなく目的もなく、とりあえずで今日を終わらせる。


 そんなくだらない1日を、また僕は繰り返す。


 沙夜がいないことを、言い訳にして。

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