『今日』

「旦那様、おはようございます」


 それは、2日に一度訪れる喜び。


 僕におはようと言ってくれる人がいる。


 僕にご飯を作ってくれる人がいる。


 僕と、一緒にいてくれる人がいる。


「おはよう、沙夜」


 そんな贅沢を感じることができる僕は、幸せ者だ。だというのに、それ以上の幸せを願ってしまう。


 どうしてこんな日々が、毎日続いてはくれないのか、と。


「今日はお早いですね。申し訳ありません、まだ朝食のご用意ができてなくて…」


「いや、いつもと同じ時間でいいよ。今日はたまたま早く目が覚めちゃっただけだから」


「左様でございますか。では旦那様、よかったら一緒にお散歩にでも参りませんか?今日はお天気もよろしいですし、とっても気持ちいいと思いますよ」


「いいね!まだかなり時間あるしそうしよう。朝に散歩するのは体にいいって聞くしね」


「はい。朝のお散歩は1日の始まりを体に教えてあげる、とってもよい方法なのです。メリハリがついて1日を元気に過ごせますよ!」


「それじゃ、顔洗ったらすぐに行くよ。玄関で待っててくれ」


「かしこまりました」


 沙夜と一緒にいられる、この日々が。


 永遠に続けばいいと、僕は切に思う。


 今日は、素敵な1日の始まりだ。


 そう。


 沙夜いない、昨日とは違って。

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