魔導師は仲間を増やす
「あなた、シャルさんですか!?」
「ユータさんこの子と知り合いなの?」
ミーアがすぐさま質問してきた、俺のさん呼びは珍しいのだろう
「いや、俺が一方的に知ってるだけだ」
召喚されたのは悪魔というには余りにも美しく綺麗な少女だった。見た感じの年齢はミーアより年下だ。
また少女にはすぎるスリットが入ったデザインの黒いドレスを着ていて雰囲気も大人っぽい
「しゃるさん? 私は悪魔を統べる王シャルロット、あなたがそう呼びたいなら呼べばいいの」
おお、この冷たいあしらい方は完全にシャルさんだ。
俺がシャルさんと呼んでるのは悪魔の王シャルロットだ、シャルさんはゲーム内では表のボスを倒すと挑戦できるようになる悪魔城ステージでのボスで
流石に裏ボスの邪神ラーリエントよりは劣るが敵キャラの中ではTOP10には入る強さだ。
さらに投票数10万票を超えた非公式キャラクター可愛さランキングでは受付嬢のカリーナを抑えての堂々の一位という美貌を持っている
そしてゲームプレイヤーの多く(主に男)は敬意を込めてシャルさんと呼んでるのだ
「それにミーア、この方はこの子とかいうレベルの年じゃない。シャルさん何歳だったっけ?」
「あなたユータ? であってるよね、やっぱりシャルさんはやめてほしいのなんか気に入らないの
質問の答えだけど年齢はわからない、1000歳を超えた時数えるのをやめたから」
「こんな可愛い子がせんさい?」
ミーアが絶句している、俺が年齢を聞いた時はゲームの中だったからそこまで驚かなかったが、実際にこんな少女が自分1000歳と言うと変な感じがする
「それにしても俺たちは運がいいな、シャルさん……じゃなくてシャルロットが召喚できるなんて、悪魔族一の強さだぞ」
「へー、シャルロットさんそんなに強いんだ、レベルってどのくらいなんですか」
ミーアが急に敬語になった、年上に対しては正しい態度か
「レベルはわからない、あなたたちのいうステータスカードを持ってないから」
なぜかステータスカードの存在を知っていたが、かなり昔に見たのだろう
ゲームでは1000くらいだったがそれを言うと、情報源を問い詰められるので黙っておく
「それでシャルロット、お前は召喚した俺に従ってくれるのか?」
いくらいい悪魔を召喚したからといってその悪魔が服従してくれないと召喚した意味がない、
説得をするのが本番といったところか
「当たり前でしょ、私が望んでユータのところに召喚されたの
久しぶりに召喚の杖が人の手に渡ったと思ったらその人面白そうなスキルを持ってるんだから」
意外な答えだった、シャルロットは望んで来たのか
「召喚される悪魔はランダムじゃないのか? それに自分から召喚されるのを選べるのか?」
「本来はランダムだけど、私は悪魔の王だから召喚される悪魔を選べるの、昔は力を試したいとか言ってるのを選んでたけどね
今回は私を召喚できるだけの魔力が杖に込められてたからここに来ることができたということなの」
なんとなくミーアと俺で全力の魔力を杖に込めたのが功をそうしたようだ
「そうなのか、シャルロットは知らないだろうがここまで来たのはゴブリンの王、ゴブリンキングを狩るためなんだ、早速悪魔王の力を見せてくれ」
実力はゲームで十分知っているが、この目で見ておきたい
「わかった、やってみるの、あと私のことはシャルって呼んでシャルさんは嫌だけどね」
「了解した、シャル」
「わかりました、シャルちゃん」
ミーアが1000歳以上年上のシャルにちゃん付けで呼んでいる、さっきは敬語だったじゃないか
やっぱりミーアは切り替えが早いな
「シャルちゃんは許してあげる、早く行こ」
「よし、シャル、ミーア着いたぞ」
ゴブリンキングは悪魔王のシャルのようにゴブリン族を支配するものであって、キングの討伐はゴブリンの集落の破壊を意味する
その村は以前潰したオークの村より遥かに広く、家と呼べる出来の建物が100棟ほど並んでいた
「シャル、これ全部いけるか?」
いくら悪魔王でもこのくらいの数は厳しいかと思うが、一応聞いてみる
「やり方は何でもいいの?」
「ああ、俺はシャルの使える魔法やスキルがわからないからな、好きなようにやってくれ」
「わかったの」
「悪魔召喚!」
シャルが魔法?を唱えた瞬間、俺がシャルを召喚した時と同じ紫の魔法陣が10個ほど空中に出現し
シャルの白と紫を混ぜたような淡藤色の腰まであるロングヘアが物理法則を無視して空中に舞い上がる
その瞬間魔方陣から異形の悪魔が出現した
堕天使のような天使の羽を生やした黒い人型の悪魔だったり何種類もの獣を混ぜた生物が現れ、一斉に集落へと襲撃する
家の何倍もある体長の悪魔が軽く足蹴をしただけで何匹ものゴブリンが潰れていき
堕天使の悪魔は正確無比な弓でゴブリンの頭を貫いていく
「これは一方的と言う他ないな」
まさかこれほどの強さとは……俺とタイマンで戦っても負けるかもしれない
「もう、いいの」
シャルがそう言ったとたんに召喚した悪魔がどこかへ消えた、モンスターを倒した時の青い粒子になって消えると言うよりは
瞬間移動のような感じだった
「シャル、すごいな、いい意味で予想外だよ相当な戦力になってくれるはずだ」
「ありがとう」
そっけなさがあるがどこか雰囲気が照れてる、悪魔でも照れるんだな
「あっ、そうだ討伐証明は……」
討伐証明であるゴブリンキングの魔核がないとクエストクリアにならない
「みんな、ゴブリンキングの魔核を探してくれないか? 直径10センチぐらいの半透明の球だ」
「わかったの」
「りょーかい、ユータさん」
魔核は意外な形で見つかった
「コイツ、まだ生きてるのか?」
そこには何の悪魔の攻撃を受けたのか分からないが重度の火傷を負ったゴブリンキングがまだ生き残っていたのだ
ゴブリンキングが俺に一矢報ろうと腰に携えた斧で襲ってくる。斧の性能は今ひとつだが、2.5メートルほどの身長から繰り出される斧の攻撃の威力は高い
俺がウィンドカッターの詠唱を始めようとした時だった
「黒槍」
名前通りの見た目の直径50センチくらい漆黒の槍がシャルの命令に従いゴブリンキングの胸に飛ぶ
「シャルか? 助かったありがとう」
俺だけでもどうにもなったが、お礼は言っとかないとな、悪魔族の魔法?はよく分からない、俺みたいに詠唱がないしどれも強力だ
ゲームで悪魔召喚は使ってたが「黒槍」
なんてのは聞いたことない
「ユータが死ぬから、やった、私のためなの」
シャルは黒槍を打ったのが自分のためだと照れ隠しをしている、多分俺のためだろうが……
ゴブリンキングから出た魔核とドロップ品を持ってタワトンへ帰る
「クエストを完了した」
依頼書と魔核を同時に受付に渡す
「依頼書にはパーティメンバーは2人となってますが?」
ん? 何でそんなことを聞くんだ
ああそうか、普通クエスト中にパーティメンバーが増えるなんてありえないからか
「ああ、シャルはクエストの途中で冒険者になりたいって言ってたからここまで連れて来たんだ、この子の冒険者登録も頼まれてくれるか?」
完全な嘘だが自分では上手く誤魔化せた気がする、この子といったのがシャルの気に障ったのかこちらを睨んでいるが……
ミーアさんと同じ威圧を感じるな
「かしこまりました、ではこちらの紙に必要事項の記入をおねがいします
あとこれがお二人の新しいステータスカードです」
赤いカードを渡される。これが赤ランクのステータスカードか、すぐにランクを上げるつもりなのでこのカードとは短い付き合いだが、ランクが上がったという実感が湧いてくる
「シャル、適当に書いといてくれ、わかってると思うが年齢は千何才とか書くなよ
あと、職業の欄は空欄にしといてくれ」
多分シャルの職業は今の時点で悪魔王とかになってるはずだ
「それくらいわかってるの」
シャルはそう返事をしてたが念のため俺が見てみると年齢が568歳になっていた、シャルの中では3桁はセーフという認識だったようだ
年齢をきちんと12歳に直した用紙を渡すと
白いカードが返ってきた
「シャル、これがお前のステータスカードだ、早速だがステータス見せてくれないか?」
「うん、いいよ」
——————————————
名前……シャルロット=アモン
悪魔王
LV1089
000000z
体力 65340
防御力 6534
筋力 653
俊敏 6534
魔力 6534
知能 6534
精神力 6534
器用 6534
幸運 6534
残りステータスポイント 5445
スキル
〈悪魔魔法〉LV10
——————————————
スキルって〈悪魔魔法〉だけですか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます