魔導師は召喚する

 


「ミーア、それだ! 悪魔を召喚するぞ」




「じゃあ仲間が増えるってことなの!

 嬉しい、ユータさんありがとう!」



 仲間と言っても恐らく召喚される悪魔はランダムに選ばれる、異形の気持ち悪いスライムのような悪魔が来るかもしれないし、獣型の悪魔が召喚されるかもしれない


 答えは神のみぞ知るってことか



「ああ、そうだ仲間が増えるんだ。

 3人いれば2人でできないことができるし、2人のパーティである俺たちにとってはいいことだと思わないか?」


 俺たちは2人とも魔導師のため、パーティに前衛がいない、まあ俺は前衛もすることはできるがいた方が戦いやすい


 それにパーティメンバーは多い方がいいに決まってるからな



「うん! 仲間が増えればユータさんがいないときとかも安全だからね」


 俺と一緒にいれば安全だがそういうこともあるか、ダンジョンのトラップで分断されたりした時とか



「それじゃあ、とりあえずギルドに行ってなるべく人が少ない所でのクエストを受けようか」



「ああ、そっか、悪魔召喚は人目につかないところでやらないといけないよね」


 その通りだ、悪魔召喚の杖が何であそこにあったかは知らないが、ゲーム内でも見たことのないほどの珍しい隠しアイテムを使うのだ


 急に見た目がTHE悪魔みたいなのが出現したら絶対なパニックになる。もしかしたら本来の目的のレースも中止になってしまうかもしれない











 タワトンのギルドはドスタのものとは比べものにならないくらい大きかった。


 一階には入り口というものが存在していなく、本来、壁のあるはずの所からギルドに入ることができる。


 また、日本と同じような鉄筋の柱を使ってる建物で、床や天井から魔力を感じる。

 魔法で建物を強化してるのだろう





 俺たちはレベルは高いがランクは白なので白ランクのクエストしか受けられない。

 しかし、ドスタとは違い白のクエストでさえ100種近くあり、自分の好みのクエストを選ぶことができる。



「ミーア、これなんかどうだ?」


 クエストの依頼書をヒラヒラさせてミーアに聞いてみる


 ——————————————


 ★★★★★★


 キングゴブリンの討伐


 ※レベル200以上


 場所:ウッズ森林


 報酬

 赤ランクへの昇格


 ——————————————



 これはギルドに登録してなかった猛者のための救済措置用のクエストだな


 白ランクのクエストだが、レベル200くらいの冒険者の大体が赤か青ランクだ。


 つまり俺たちみたいに本当は赤ランク以上の実力があるのに白ランクに所属している人を救済するためこのようなクエストが存在してるのか



「クリアすれば、すぐ赤ランクってこと!? 早くこのクエスト受けようよ」


 ミーアも気に入ってくれたようだ、依頼書を持って20個ほどのカウンターから比較的空いてるところを選んで並ぶ


 並んでる人は少なかったが20分くらい待ったが街に入る時と比べたら微々たるものだ




「このクエストを受けたいんだが」



「ではステータスカードの提示をお願いします」


 俺とミーアは真っ白のカードを見せる。

 表示する項目は選べるので、名前とレベルの項目のみを表示して見せる


「はい、確認できました。こちらがクエストの依頼書です」


 直径10センチぐらいの大きな塔が描かれたギルドのスタンプが押されている依頼書をもらう。



 これはクエストを受けたという証明者なので、無くしたら報酬は貰えない


 無くすとクエストが無駄になってしまうのでポケットの中にしまうそぶりをしながらポケットの中にストレージを出しそこにしまう。ここなら絶対無くさない







「じゃあ出発するぞ」


「わかった、でも冒険の準備ってしないの? ご飯とか用意した?」


 やっぱり飯が気になるのか心配している



「すぐに終わると思うが、いちおう露店で買っておいた。虚空倉庫の中にあるからいつでもアツアツのまま食べられるぞ」


「やっぱりいつでもそのままの状態で保存しておけるなんて、虚空倉庫は便利だね


 お姉ちゃんが冒険中のご飯は冷たくて硬くてマズイって言ってたから、心配だったけどユータさんがいれば安心できるよ」



 ミーアの言う通りストレージは入れた瞬間の状態を維持し続ける。危険だが溶岩とかを入れてそれを出せば武器にもできるかもしれないな



 ウッズ森林はタワトンから歩いて30分ほどで着くが薬草や山菜が取れるいい森なので片道5分の定期便が出てる


 それにあえて乗らないで徒歩で行く理由は寄り道したいところがあるからだ



「ミーア到着したぞ」


「え、ここら辺何もなくない?」


「そう何もないんだ! ここでお楽しみの召喚をするぞー!」


「なるほど、ここでするのか、楽しみーどんな子が来るんだろ?」


 俺はストレージから杖には似つかわしくない形の黒い棒を出す


「ええと、地面に突き刺すんだったっけ」


 ブスッ……パタッ


 全長1.2メートルくらいの杖が10センチく

 らい突き刺さって倒れた


 アレッこれ不良品かな?


「ユータさん何やってんの?

 早く、早くー」


 ミーアさんそんなに責めないでください


「魔力こめるんじゃない?」



 魔力を杖に込めると杖の模様が紫色に光り出した



「ミーア、それだ!」


 何となくだが魔力を込めれば込めるだけ強い悪魔が召喚できる気がする、杖入れる魔力が多いほど強く光っているし


「ミーア、少し手伝ってくれないか」


「いいけど私は何をすればいいの?」



「俺の合図で魔力を全力でこの杖に込めてくれ、後で魔力回復はしてやるから安心して全力を出してくれ」


「わかった、全力ね!」


 これで弱い悪魔が来たらミーアに申し訳ないが、少しでも強い悪魔を引き当てるためだ



「1分後、10倍」 「マジックヒール」


「ミーア! 今だ!」


「わかった!」


 魔力回復の魔法を唱えた後

 俺とミーアの魔力が一斉に召喚の杖に込められて2人が全ての魔力を注ぎきったところで杖を地面に突き刺す



「悪魔召喚!」



 少し発言が痛いが、つい興奮して言ってしまった。だって力を合わせるところがかっこよかったんだもん




 杖は持ち手のところまで刺さった瞬間


 持ち手の先の黒い宝石が紫色に輝き

 そこから空中に紫色の複雑で幾何学的な魔方陣が描かれる、その魔方陣は美しく芸術的でもあった



「きれい…………」


 ミーアが感嘆の声をあげている

 それ程の感動をしたのだろう



 10秒程たった後だった


 魔法陣が一本の光線を地面に放ち始め、そこの地面から物体が形成し始める


 これは……人型か?

 光線がまず始めに作り出したのは靴だ

 靴を履いてるということは悪魔が人の形をしてる可能性は高い


 靴の次は足だ。肌は透き通るかのように真っ白な肌を持っている


 光線の形成速度が早くなっていき、下から

 順に真っ黒なドレスが現れる


 その悪魔が人型の女と認識したのと召喚が終わりその女が目を開けたのは同時だった



「あなた、シャルさんですか!?」



—————————————


NEW!  光魔法、マジックヒール

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