魔導師は教える
時計は3時51分指している、彼女はもうカフェの前で待ってるかもしれない。急がないと
走ってカフェに向かうと彼女は………いた。
「すまない、ギルドでの買取に時間がかかって遅れてしまった」
男女の待ち合わせは早めに着いて、女性が来た時「今来たばっかだよ」というのに少し憧れていたのに……
「いえ、私も来たばかりだしまだ4刻の鐘もなってないから、お互い早くついちゃったね」
(どうしよう、楽しみで30分も早くついてたなんて言えないよ…)
「早速店に入ろうか、お腹が空いてきた」
「私も!」
「いらっしゃいませ!」
ハツラツとした声で定員が迎えてくれる
店に入ると奥の方にちょうど2人席が空いている、あの席にしよう
「あそこの奥の方の2人席は空いているか?」
「あちらの席ですね、すぐご案内します。」
店員に案内された席に着く
「まずは自己紹介からだ。まだお互いの名前も知らないしな、俺の名前はユータ、職業は今日も言ったが魔導師で年齢は17歳だよろしく」
「私はミーア、職業はあなたと同じ魔導師よ、年齢は15歳今日は助けてくれてありがとう!」
ミーアかいい名前だ。呼びやすいしな、口調が馴れ馴れしいがカワイイから許す!少し顔が赤いが俺に照れてるのか?いや流石にないか
一瞬でも変なことを考えてしまい俺の顔が赤くなる。
「ミーア少し顔が赤いが熱でもあるのか」
「い、いやそんなことないよ
それよりユータさんこそ赤くなってない?」
「俺もか?」
やばい、やっぱり俺も赤くなっている
「顔の色は置いといて早く魔法について教えてよ!」
ホントその通りです、すいません
「すまない、そういう話だったなじゃあ何か注文をするか、俺はこの店に来たことないから……ミーアは来たことあるか?」
「はい!私は常連だからね、この店のことなら任せてよ!」
「じゃあ好きなものを頼んでくれ、もちろん代金は俺持ちだ」
「本当に!じゃあ……すいませーんこのホットケーキ3つとバナナチョコレートパフェ5つください」
「か、かしこまりました」
「おいおい、そんな量食い切れるのか、あっあとコーヒー1つ」
「甘いものは別腹って言うじゃん!」
いやその理屈だとミーアの別腹じゃない方の腹はブラックホールでできていてもおかしくない、店員も若干引いてるし、こんな華奢な体に収まるとは思えない大量の注文をしてる。金は足りるが、けっこうな金額になるぞ。
「あー美味しかった!」
こいつ本当に食いやがった、フードファイターかなんかを見てるようだった。またメニューを見てる。まだ食う気か?
「で、俺がミーアに会った理由なんだが、魔導師をやっている俺からすると、不遇職の魔導師のお前が少しかわいそうに見えてくる、
俺は魔導師の苦労がわかるしな、そこで少し魔法の指導をしてやろうかと思ってるんだが。」
ミーアの視線が一気にメニューから俺の方に動く、
「じゃあ本当に森での約束通り教えてもらえるんだね、やった!やった!」
お、予想以上に喜んでくれてる、喜んでくれた方が教え甲斐も出てくるものだ
「じゃあ、返事はOKということでいいな、じゃあ早速始めるぞ。ミーアは魔法を使用するとき詠唱と魔法名どちらを重視している?」
「そりゃあ魔法名じゃないんですか、詠唱なんかより魔法名は魔法を出す起因となるし」
「普通はそう考えると思うが不正解だ。実は魔法名は大して重要なものでない。詠唱で魔法の速度や魔法使用量などの全ての要素を決めた後使う魔法名を言うことで魔法が発動するんだ。
魔法名を言うことは魔法を発動するためのトリガーでしかない
つまり魔法において最重要なのは
魔法の要素を決める「詠唱」だ!」
「詠唱なんて今まで魔法名のついでに言ってると思ってた!でも詠唱が重要だとわかったところでどうすればいいの?意味のわからない魔法語なんて話せないし、どうしようもなくない?」
彼女がこんなことをいうのも分かる。
一つの呪文に一つの詠唱というのが魔導師の間では共通認識だからな
「チッチッチ……俺はミーアの詠唱を俺のスキルで強化していく。俺のようにまではいかないが似たようなことはできるはずだ。例えばこんな感にな。」
「10倍」「ライト!」
「今は初級無属性魔法のライトだが光量が通常とは大きく違うだろ、詠唱で10倍の光量にしてみたんだが詠唱はなんて聞こえた?」
「10倍にしてみた?ユータは魔法の威力を操作できるの?どんなスキルなの?」
ミーアは矢継ぎ早に質問を繰り返す。
「質問を質問で返すなよ、しょうがない俺のスキルの説明をするのを忘れてたな、俺のスキルは《魔法語自動翻訳》
日本語での詠唱が翻訳され短い単語でも魔法の要素を操作できる詠唱になるものだ。例えば俺が今言った詠唱はじゅ、う、ば、い、のたった4音の詠唱でライトの威力を10倍にした。」
「そんなすごいスキルがあるんですか、おそらくユータさんは魔導師一いや世界一強い冒険者じゃないんですか?」
本当にそうかもしれない、力のステータスを倍にする魔法「ダブルパワー」の詠唱を「1000倍5秒」とかにすれば力で何でもねじ伏せることができると思う。
「もしかしたらそうかもしれんな、話を戻すが俺の「10倍」の詠唱はなんて聞こえた?」
「言葉ではうまく表すのが難しいけど強いて言うなら「がいゃうあうばああい」かなぁ」
恥ずかしそうに伝えてくれた、確かにものすごくダサくて言いにくい詠唱だ
しかしその文字列の中には「10倍」の意味が込められている。
「言いにくいとは思うが、その詠唱をマスターするだけで(俺の仮説が正しければ)どんな魔法でも10倍の威力で打てるようになるよ」
仮説というのはミーアは通常の詠唱の内容もわかっていなかったが魔法は発動した。よってミーアは俺のオリジナルの詠唱でも発音や言うことさえ合っていれば特殊な詠唱の魔法も打てるのではないかということだ。
「私でもユータさんみたいに10倍の威力で……ユータさんに近づくため頑張ってみる!」
「10倍の詠唱は明日までの宿題だな、
今日はもう遅いから森に行くのは危ないし、明日の10時にまたここに集合して森で成果を見せてもらおう。早すぎてもミーアに迷惑だしな」
「私はいつでも大丈夫、5時でも6時でも」
「それは早すぎだろ!」
「あっ、そうだった」
ミーアは舌を少し出しながらそう言う
あざとい。でもカワイイ!
「せいぜい8時だ。それ以上早くすると森にいるモンスターのレベルがまだ高い状態だ」
「時間が遅いとモンスターのレベルがあがるの?」
「ああ、ここら辺だと平均で5レベルくらい高かったな」
「ユータさん、モンスターのレベルもみれるの?!ということは魔眼持ちなんだ、魔眼持ちなんて10年に1人生まれるかくらいの確率だよ
やっぱりユータさんには偶然じゃ済まない確率のことが起きてる。変なスキルも持ってるし、他に隠してることはないの?」
ステータスが確認できるのは俺だけの特権だったか、ゲームの機能にあったのでつい言ってしまった、俺とミーアは先生と生徒みたいな感じだから、俺が転生者とか余計なことは言わないほうがいい。
「俺は運がいいだけだ、そんな特別な人間じゃないよ、」
ミーアはまだ疑いの目で見てくる
ゴーンゴーン
時計塔の鐘が5回鳴る
もう5時になったのか、主にミーアの食事時間に時間を取られてしまった。
「いけない、5時に友達と食事の約束をしていたの忘れてた。ユータさん明日の8時にここに集合で合ってる?」
鐘の音に助けられた、あのまま追求されてたら絶対喋ってた、ミーアったら恐ろしい子!!
「ああ、宿題の詠唱忘れずにできるようにしとけよ」
「わかってるって!それじゃあまた明日」
ミーアは急いで次の食事へと行った。
まだ食べるのかミーアの腹は底なしだな。
女子とこんなに話したのはいつぶりだろうか
冷静を装って話していたが久しぶりの女子との会話はさすがに緊張するな、服がびっしょり濡れている
ミーアと話していて宿も取れてない。
部屋が無くなることはなさそうだが、
いい部屋がとられてしまう。
「すいません、お会計お願いします」
「かしこまりました、えーとホットケーキ3つとバナナチョコレートパフェ5つ、コーヒー1杯合計で15500zです」
店員の顔が引きっていたが俺はコーヒー1杯しか飲んでないからな、
俺は代金を払い店を後にする。
どこに泊まろうか、少し高くてもいいから、サービスのいいところがいいな
お、ここなんかどうだろう部屋の明かりがほとんどついている宿を発見した。入り口の前も綺麗に掃除してあって花なんかも飾ってる、部屋のほとんどが明るいということは、客の沢山いる人気の宿なんだろう。
看板には「蒼炎の竜」と書いてある、この宿は一泊ゲーム内ではいくらくらいだったけ?
「部屋の空きはありますか」
「お兄さんいいところに来ました、一部屋空いてますよ、一泊朝食、夕食付きで7000zですがどうでしょう」
金貨1枚くらいを予想してたが思ったより安かった、
「では、泊まらせてもらう」
「毎度ありー」
銀貨を7枚と交換に部屋の鍵をもらった。
ギイィィ
ドアを開けるとフローリングのような床の上に真っ白なシーツを敷いたベットがある、フローリングなんかはかなり文化的だしこの世界の価値観いうといい宿なのかな?
今日は異世界転生初日で疲れた
本当に転生してるなんて今でも信じられないが、かわいい女性との出会いもあったし異世界転生、案外悪くないかもな。
夕食は8時ごろと言っていたので少し仮眠を取るか
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