第06話;脳内変換王子は脳内変換をやめる~そして王子は婚約破棄をされる

ディランが手足を失って2週間


「うっ・・・・」


痛みに顔をゆがめて修道院の天井を見た

弟や妹の結婚や王太子就任に話は伝わって来ていた

それを素直に良かったと思っている自分に驚いていた。

ここに来る前なぜあんなにも自分が一番だと思っていたのかが不思議でならなかった


「彼は助かったのだろうか・・・」


かばった兵士はどうなったのか誰も教えてくれない

誰も部屋に来ない、

来るのは無言で包帯を変えに来る看護師のみだった、

登って行く朝日に嫉妬した


「なぜ助かったのか、こんな獄潰しにしかならない自分が情けない、いっそ目覚め無ければ良いのに」


そう自暴自棄に落ちっているディランだった

コンコンコン

ドアを優しくたたく音

何時もの看護師ならドンドンと荒く叩くのに不思議に思った


「どうぞ」


キー

ゆっくりドアが開くとそこに居たのはフレイアだった


「フレイア・・・何故君が」

「ごきげんよう、ディラン早朝に失礼致しますわね」


後ろにブルック子爵の姿が見えた


「2人で話をさせて下さい」

「かしこまりました、ドアの外にいますので、また声をおかけ下さい」


そう言うとブルック子爵はドアを閉めた

さほど広くない部屋に小さなタンスと机があるだけの殺風景な部屋

フレイアはぐるっと見回してベットの横の小さな椅子に座った


「お加減はいかが?」

「君が何故」


動揺を隠せないディランだった


「色々と聞きましてよ、こちらに来たての頃、母君に会いたいと暴れられたとか」


恥ずかしい過去のことを言われてとても気まずいディラン


「・・・恥ずかしながら、とてつもなく頭が痛くて何時も母に会いにくと治ったので、本当に大人気無かったと思うよ、皆に迷惑掛けた!」

「今はどうですか?」

「此処に来てから夜は痛く無くなった、王宮では常に痛くて、母の元に行ってたよ」

「そろそろ痛くなる頃ですか?」

「?ああ、いつもこの時間位から・・・くっ・・・」

「痛くなって来ました?」

「ああっ、痛い」


欠損していない手で頭を押さえるディランだった


リンリン

音か響く


「なんの音だ?」

「通信魔法具ですわ」


ドレスのポケットから四角い黒い魔法具を出して耳に当てるフレイア


「もしもし?目覚められましたか?はい分かりました、続けて観察お願いします」


ピッと音かした


「お母様が今目覚められたそうですわ」

「?どういうことだ!」

「頭痛の原因がお母様だということです」












フレイアがブルック子爵邸についてのは昨日の夕方だった

魔物討伐の際にけがをしたもの治療と、ディランに会うためだった。

ブルック子爵はディランを唯一受け入れてくれた人だった。


だれが見ても明かにやっかいな者を受け入れてくれる者は居なかったのだ

夕食が終わりルック子爵の執務室にブルック子爵とフレイアが居た


「今回はありがとうございます。領内の治療師では重症の者は治せなくて難儀しておりました。」

「大丈夫ですわ、命があるものは全て治せます、無くなってしまった方には申し訳ありませんが」

「いえ、明日よりよろしくお願いします」

「・・・・ディラン様はどうされてます?」

「・・・・命があったのは奇跡です、殿下がかばった兵士もかなりの重傷で、どうにか意識はもどりました。」

「ディラン様が人をかばったと聞きまして、今までの彼の所業からは信じられませんでした。」

「私はそうは思いません、あの方はそういううことをされる方だと思っております」

「ブルック子爵はディラン様のことを信用されているのですね、理由をお聞きしてもよろしいですか?」


「私にはフレイア様と同じ年の娘がおります、お披露目会の時娘と会場の隅の方におりました、

ずっとフレイア様が王の膝にお座りになっておられるのを娘とみておりました、

挨拶が終わり、下級貴族の私どもは他の方々との挨拶もそこそこに早めに退席させていただいたのです。


そこで王子にお会いしました。会場をこっそりのぞいておられたようで、病気だと伺っておりましたが、お元気そうでした。

会場の様子や話等聞いてこられたんですよ、

信用されたのか出席しなかったのは母上殿が下級の者たちと会う必要は無い

と言って出席させて貰えなかったとおっしゃっておいででした。


私どもの領地の特徴や生活なども聞いてこられ、領地経営に興味をお持ちみたいでした。

6歳の王子に将来有望さを感じたのです、娘とも下級貴族が!と言うことは無く一緒にしばらく遊んでおりました。


石につまずいて倒れそうになった娘を身を挺して助けてくれたり、後から聞く王子の話が嘘のように感じておりました」


「そうですか・・・そうです王子は小さい頃はまだ、偉ぶっては居ましたが、ちゃんとメイドや護衛には感謝の言葉をかけ、ねぎらっていたのを思い出しました」

「ぜひ、王子も助けていだけませんか?」

「分かりました、私の想像が正しいと認識もしましたし、明日は早朝王子の元を訪問したいので手配お願いします。」









ディランをじっと見てフレイヤが言った

「まず謝らせてください。あなた自身がおかしいのだと思い込んでおりました」

「・・・ははっ!あいかわらず容赦無いな・・・君が謝ることないさ、おかしかったのは事実だ」

「今、ディラン様は自分がおかしかったことを理解していらっしゃる、それはここが母上の居る場所より遠くの場所だからなのです」

「母上のせい?」

「失念しておりました、貴方が小さいときは偉ぶっては居ましたが、ちゃんとメイドや護衛には感謝の言葉をかけ、ねぎらっていたことを」

「そうだったか?あまり記憶にないな」

「あなたがおかしくなったのは今思うとライアン第三王子、ザグレブ第二王子が頭角を現し周りから王太子に押す話が少しずつ上がって来た頃です」

「あの者たちは優秀だ、今は当たり前だと思っている」

「私が7歳か8歳のころだと思います、母様のクルミーナ様から負の魔力が感じられるようになったのは、

その時は魔封じの強化で落ち着きました。まさか自分の子どもに呪いをかけるとは思いもよりませんでした」

「呪い・・・母上が私に・・・」

「自分は何もかも一番で優秀で全てにおいて優位に立てる人間だと洗脳の呪いです。

あなたは無意識に抵抗して頭痛がしていたのです、呪いを掛け直されると頭痛は止んだのです」

「母上に愛されていないことは解っていたが呪うほどだったとは・・・」

「遠くに離れて呪いの効果が薄れています、クルミーナ様は起きられるとまず祈りをささげられるそうです、

(自分を誰もが敬うようにしてくれ)と祈られているそうですよ、」

「ああ、あの人は自分が一番なんだな誰よりも自分なんだ、解っていたよ・・・でも母に良く思われようとしていた、

そして母の言うとおりにしていたらこの有様だ」

「お母様と決別出来ますか?」

「ああ、私はここで朽ちていくよ、母の過ちも含め今まで傷つけてきた人たちに謝罪を込めて」

「!もしかして討伐に参加されたのは死に場所を求めて?」

「そうだな、そう言ううつもりは最初は無かった、

誰かを助けたい、自分が出来ることが有ればと思った、

でも戦闘中朝方にまたあの頭痛がしてきて、

私の動きが鈍くなって隊列が少し崩れた時、自分はもうここに居ては往けないのだと思った

そして倒れて魔物に爪を立てられぞうになった兵士の前に出たんだ、彼はどうなったんだろう」

「意識は戻ったそうです・わ・・・何かとても腹立ってきた!、何あの女、何考えてんだふざけんな、自分の子どもに何やってんだ」


フレイアの表情と言葉が険しくなっていった


「フ・フレイア?あなたがそんな言葉使うなんて初めて聞いた」

「・・・すみません、つい、・・・自暴自棄にならないでください、少なくとも王とブルック子爵は貴方を思っておいです」

「父上が、子爵まで・・・」

「頭痛はどうですか?」

「痛みは慣れてくるものだよ、痛み初めはつらいが・・・」

「欠損した手足の修復と呪い返しをします。よろしいですか?・・・呪い返しはそのままお母様に呪いが帰ります、貴方が苦しいんで来た頭痛も帰ります。」

「そうか分かった、ありがとうフレイア」

「では始めます」


てをかざしてディランの手足の修復を行う光に包まれていく王子


「あたたかい・・・陽だまりに居るようだ」


光がおさまると王子の手足が元に戻り、細かい傷も綺麗に消えていた


「次は呪いです手を」


手を出すとフレイアはそれにそっと触れるとディランの周りに黒い霧のようなものがそれがフレイアに移ると勢いよく空中に飛散して消えた


ガタン!とフレイアが倒れた


「フレイヤ!」


ベットから急いで降りてフレイアを抱えた

ガチャとブルック子爵が部屋に入ってきた


「どうしました?何事ですか!」

「いきなり倒れたんだ、呪いを解くと言ったら」

「うっ・・・つぅ~」

「大丈夫かフレイア」

「何処が慣れる痛さですか・・・・普通の人なら死んでます・・・・」

「え?あの痛み感じたのか?」

「呪いはきっちり返さないと他の人に移ることが有るんです、

私の体を一度通すと必ず返せるんです呪い返しが一瞬私にもかかりますが・・・

この痛み小さい時から耐えてたんですね・・・」


2人に起こされ椅子に掛け直すフレイア


「なんという痛みですか、普通発狂してますよ・・・」

「そうか?確かに痛くて他のものに八つ当たりしていたこともあるなぁ・・・悪かったな・・・」

「「・・・・」」


ディランをフレイアとブルック子爵は複雑な顔をして見た


ドンドンドン


「ああ、多分いつも包帯を変えに来る看護師の叩くドアの音だ」


そうディランが言うので

ブルック子爵がドアを開けてもう必要ないことを伝えようとドアを開けた


「マーガレット!」

「お父様!なんでディラン様の部屋に」

「最近何処かに朝早くから出かけてると思ったらこんな事していたのか?」

「フ・フレイア様?・・・なんで・・・」


ベットの横に座るフレイアに気が付いた


「まさか元のさやに戻られる?」

「「それは無い」」


2人同時だった


「ブライアンに殺されるわ・・・本当に奴の殺気はシャレにならん・・・」

「ブルック子爵のご令嬢ですの?ディランの世話を?」

「手が足が有る!」


目を見開いて驚いている


「大賢者の力・・・もう世話は必要ないんですね・・・」

「怪我は治りましたが、無くなった血は戻りません、まだしばらく安静に

これからは領地の治療師にお願いすれば1週間ほどで完全に元に戻れると思いますよ」


「良かった・・・うう」

「マーガレット!?」

「私、王陛より全権を任されてきましたの、ディラン様は修道院を出てブルック子爵の手助けをすように、これは命令ですわ」

「フレイア?」

「領地経営を学びブルック子爵を助けるように」

「フレイア様ありがとうございます。」


そうブルック子爵が言うと


「ブルック子爵、いつも気にかけていただきありがとうございます。頑張りますのでよろしくお願いします。」


ディランが頭を下げた。

フレイアは3人を部屋に置いて部屋を出た


そのまま他の怪我人の治療に向かった














「ディランのことフレイア嬢ありがとう」


そう王が言った


「いえ、でもクルミーナ様が・・・」


その日祈りをささげていたクルミーナが祈祷場からなかなか戻らないため見に行ったメイドが白目をむいて死んでいる彼女を見つけた

呪い返しの頭痛に耐えれなかったのである






それからしばらくして

「ブルック子爵から娘のマーガレット嬢とディランの結婚の承認依頼が来ている」


王がブルック子爵からからの書状を見て言った

フレイアがにっこりと笑い


「そうですか、よろしいと思いますよマーガレット様はとてもディラン様の事思ってらしたから」


そう言ううと王は一つため息をして


「そうだな、これで皆幸せになれる・・・」


「・・・そうですね・・・」


「クレセントの子は男の子と女の子の双子だったそうだ」

「おめでとうございます」


「私に話とは?ブライアンには内緒とは穏やかじゃないな」

「ブライアンさまとの婚約を解消します。」

「!何を言うのだあんなに愛し合っているのに」

「私は不老不死です、そして子が産めません」

「!不老不死!?」

「子が産めなければ王妃として意味がりません」

「側室をもらえば良いではないか!」

「ブライアンはたぶん側室を設けません」

「ああ・・・そうだな・・・」

「明日私はこの町を出ます。

私の処遇は王家の秘宝を盗み男と駆け落ちしたことにしてください、

家のことはすみませんが穏便にお願いします。」

「ブライアンと話し合わないか?」

「いえ、この国には彼は必要です、一緒に時を刻めない、子供も作ってあげれないそんな女では彼の足手まといです、記憶を少し操作させていただきます王様以外の」

「フレイア・・・君は一体何者なんだ?」


「女神の使徒・・・世界の調整をするもの」


「女神・・・」


「王よこの国をブライアンとともに良い方向に導いてください、さようなら」


フレイアが目の前から消えた









王都郊外王都が見える丘の上に冒険者の恰好をしたフレイアが居た

涙が、すーと、頬を伝った


「楽しかったなぁ・・・転生してこの世界を救えって女神に言われてどうなるかと思ったけど、うん!この国はもう大丈夫だよね」


ふわっと風が吹いた


「え?ブライアン・・・」

「酷いな婚約者を置いてくなんて」

「え?転移魔法使えるの?」

「知らなかったのか?転移魔法も上級治癒魔法も本当は使える、君の記憶操作は僕には効かない」

「父上には承諾してもらったよ、第二王子のザグレブを王位継承権復活させてもらった」


「どうしてどうして・・・」


「女神の使徒が自分一人だけだと思った?」

「え?」

「向こうでは 牧村 悟、大学生だった交通事故で死んだんだ」

「悟?・・・・宮村 美香,OL3年目私も交通事故で」


「何処がゴールかわからないけどこの世界を救う為一緒に行こう」

「はい」


涙が止まらないフレイア


2人は手を取ってゆっくりと浮き上がって空を駆けたこの世界を救うため





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無理やり飛ばした感あるけど終わります。ありがとうございました。

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