6-4 ヴィ―リビア国の水の王女 再会する……?

☆2☆


「あー、牢屋なんざ二度とゴメンだぜ! とっとと船出しようぜ。船出! 今出ないと、磁気嵐にやられるからな。おー、眩しいぜ~っ!」


 辿り着いた船着き場では、太陽が煌々と輝き、青い珊瑚が海面に揺らめいている。

 宝石で飾り付けた眼帯をスメラギが再び巻いた。


(そういえば、スメラギって何で左眼を隠しているの? ……どうでもいいか)


 スメラギは見ろ、と腕を上げた。空の向こうから雷雲が押し寄せている。恐ろしさに震えたアイラの肩を叩き、ニカッと頼れる従兄の表情になった。


「そんな顔、すんなって。あのさ、アイラ。俺も驚いたんだがよ……おまえ、あのラティークが好きだろ。んで、あっちもアイラが好きってかァ?」


 直球を食らって、アイラは瞬発でぶつけ返した。


「なんであんたに答えなきゃいけないの。操られてるだけかも知れないでしょうが!」


 んあ? とスメラギが首を傾げた。アイラはちょっとだけ唇を尖らせた。


「あんたが売りつけて逃げてった日にね、あたし、虜の魔法、かけられたの。そこは許せない! ちょっと、何? ウス気味悪い笑顔して!」


 スメラギは八の字眉でゆっくりと、ぽん、ぽん、とアイラの肩を二度ほど叩いた。


「おまえ、以外と可愛いんだなァ。ねんねちゃんじゃねェか」


 ――何が言いたいの。スメラギにからかわれると、本当、頭に来る。


「うっさい! このモテない腐れ海賊!」怒鳴ったところで、忍び笑いが聞こえた。


「僕は差し詰め〝モテすぎ腐れ王子!〟か、元気なヴィーリビア王女さま」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る