第3話 日記Ⅰ-2

7月20日 ついに夏休みだが、塾は休みではない。むしろやることが増えて面倒である。この期間にしか得られない知識等ある訳だが、そういうのも含めて普段からやってもいいような気がする。先月受けた塾の模試は地区内14位。まずまず。しかし上にいる奴らの名前と結果を見るたび、正直敵わないと思う奴らだらけだ。東大やら医学部やら目指すのだろうか。将来の夢、全く想像出来ない。何かすごく出来るものがあるといいが、どうだろうか。成し遂げられるだろうか。出来る自分を妄想することは出来るが、実際叶えられるかは不明。甘くないだろうが、頑張りたくない。頑張るというのは能力のない人間が言う言い訳だと思う。違うと言われても僕はそう思う。だから、活躍している人っていうのは程度の差こそあれ、最初から出来る要素を持ち合わせていたのだと思う。運命ってやつだ。それに僕は出会えるのだろうか。真正面から取り組みたいことが見つかるのだろうか。それが嫌だから妄想しているのかもしれない。本当に、将来何をやっているのだろう。幾多の妄想だけとめどなく溢れ返るけど、その中に将来の自分がいるかなど全く想像もできない。逆に言えば、全部叶えてしまいたい。全ての可能性は僕の中にしまい込まれている。何にでもなれるはずなんだ。それに向かう一歩がとてつもなく重く、目的地が遥か先なだけで。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る