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「ぶっ! はははは! ねえ、見た? フェレクラディが姫抱きされていたよ。しかも絶世の美女に! これはあとでアイツをからかうネタにしよう!」


 上機嫌に笑う王太子に頷きながら護衛の目は訓練場にくぎ付けだった。他の騎士たちも同じように訓練場を見つめている。ただ、その表情は締まりのないものだ。


 フェレクラディ・ドマネスは騎士団の中でも指折りの実力を誇る。魔法、剣、知識、どれをとっても引けはとらない。更に言えば、妖精とうたわれるほどの美貌の持ち主だ。水色の髪に同色の瞳、雪のような美しさ、などと言われる。夜会に出れば女性たちに狙われ、薬を盛られたことも二桁いくとかなんとか。

 そのフェレクラディより他者を魅了することに長けた女性がいること自体衝撃なのに……。


 成人男性を軽々抱き上げる筋力もさることながら、それよりも破壊力抜群の顔が近くに揃うこと自体、常人には目の毒だ。目が潰れる。潰される。


「美男美女……」



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狂った国の魔女 雪城藍良 @refu-aurofu2486

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