モニターに向かってこんにちは

 どういう流れだったのかはとんと忘れてしまったのだが、お姉さんから一度ビデオ通話のお誘いが来たことがある。

 ゲームのお供にお姉さんと話すのではなくお姉さんと話すためにゲームをしているような状況に近かったので、ぼくも快く了承した……したのだが、どうやら映像を送るのはぼくの方からだけだったようで、お姉さんの顔は見えなかった。不平等だったのだろうか。当時のぼくはそんなことを考える余裕もなかったのだろう。まあ、あまり嘆くことでもないだろうが。

 会話の内容はよく覚えていないが、自分が部活に行く前でウィンドブレーカーを着用していたことと、子どもっぽくてかわいいとか言われたことは覚えている。中一という「子ども」卒業を意識し始めるステージでかけられたこの言葉はどうにもむず痒く、「オレって子どもなのか……」とモニターに映る自分の顔を見ながら思っていた。

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