「オレ、ドラ○エの僧侶っぽいって言われたことあるから」

 それから、兄とお姉さんとぼくの三人で、ネトゲの中でPTを組んで通話しながら遊ぶ日々が続いた。誰かと通話しながらゲームする楽しさを知ったのは本当にこれが初めてで、その相手がオトナの女性ともなれば無垢なガキには刺激が強すぎるくらいであった。ぼくは一人用のRPGだともっぱら剣士キャラを愛用していたのだけど、なぜかその時はジョブにヒーラーを選んでいた。社会性のあるゲームだからと他人を意識したのか、お姉さんを意識したのかは、今となってはよく分からない。……まあ、タンクをやろうにもぼくだけが後出しでLvが低いんだから成り立たないだろ、と思った可能性もあるのだけど。

 そのネトゲはMMORPGのような形態を有していて、特に交流を売りにしていた……ような気がする。ゲーム内アバターに関するカスタマイズも充実していて、「ゲーム内結婚」なんて単語を初めて目にしたのもこのネトゲだった。そのお姉さんは女性アバターで、ぼくは男性アバターでプレイしていたので、まあ、ガキらしい妄想も当然した。

 結局、そのゲーム内でそのLvまで進むことはできなかったのだが。

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