ちょっとHなお姉さんが家に遊びにきた話

変大佐

眠れぬ夜に

 中学一年生の冬くらいだったと思う。当時は22時に寝て7時には自発的に起きる健康な生活を送っていたのだけど、その日は珍しく寝付けずリビングまでホットミルクを飲みに起きた。そうすると、まだ当時実家で暮らしていた兄が一人で自前のノートPCを開き、ネトゲをしているのがふと目についた。つい画面のそばまで寄っていくと、兄は何やらモニターに話しかけている。通話しながらゲームする光景にはその時初めてお目にかかったような気がするけど、あまりそのことには違和感を覚えず「なあ、誰と話してんの?」と純粋な疑問を口にした。恐らく、兄のマイクがぼくの声を拾ったのだろう。「え、弟さん?」と返ってきた。女の人の声だった。

 それからは眠れぬ夜の不安を紛らわすように、お姉さんとの会話を楽しんだ。とはいっても、会話の主導権は「わたし、ちょっとショタコンの気あるかも……」なんて豪語する向こうに握られっぱなしで、対するぼくの脇からはドーっと汗が噴き出るほど緊張していた。でも、質問責めにされて弄ばれるような感覚に、不思議と悪い気持ちはなかった。

 そのまま兄の勧めでSkypeとそのネトゲを自宅のデスクトップPCに導入し、そのお姉さんと一番はじめの友達になった。

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