桜井桃果と最強の能力

「ところで翔平しょうへいくんはさ、バトル漫画の能力で一番強いのは何だと思う?」


 喫茶店のアルバイト中、同じシフトに入っていたモモと漫画の話の延長でそういう話題となった。


「やっぱ、時間を操る能力じゃない?」


 敵は動くことすらできないのに、こっちは自由に動き回れる。もしくは、敵の情報をあらかじめ知れるから対策もし放題だ。最強と言わざるを得ない


「けどさ、時間を操る能力を持つキャラは、負ける運命にあるのも事実じゃない?」

「と言うと?」

「ほら、○ョ○ョの奇妙な冒険なんて分かりやすい例だけど、ディオ、吉良吉影、ディアボロ。いずれも承太郎、仗助、ジョルノにやられていると思わない?」

「確かに。よく考えたら、まど○ギのほむらもワルプルギスの夜に敗北したもんね」


 一概に時間を操る能力が最強と言うこともできないのか。だけど、


「けどさ、実際時間を操る能力ってめちゃくちゃ強くない? 現実で考えたらなおさらそう思うし、それに○ョ○ョの例で見てもそう思うんだよね」

「確かに強いことには強いけど、それでも最後は歴代の主人公たちに負けているよね?」

「ほら、ディオが敗北したのだって、承太郎が実は時を止めることができたからだし、吉良吉影の凡ミスがなければ、仗助は知らないうちにやられていたと思わない?」

「……そう言われると、それはそうだね」


 俺の別考察により、モモも再び悩み始める。この議論は、決着させるのに時間がかかりそうだぞ。


「まぁ結局、裁量を握る作者が最強ってことなのかな」

「身もふたもない!」


 こうして俺たちの議論は十数秒で決着を迎えた。


 能力『創造』! 結局これが一番強いことに落ち着いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る