岡村翔平とお花いっぱい
ある日の喫茶店でのことだ。私、
「じゃあ聞くけど、お前はどんなジャンルが好みなんだよ」
翔ちゃんの語ったバトル漫画への熱を理解できなかった朱里ちゃんに、今度は翔ちゃんが好みを質問する。
「あたしはもちろん、少女漫画よ! 特にラブストーリーかしらね! 最初は突っかかっているけど縮まる二人の距離、時折起こるヒロインを巡る修羅場、ドキドキのキスシーン。何より、ヒロインに囁かれる甘い言葉なんてもう最高じゃない!」
うっとりとした表情で少女漫画の魅力を語る朱里ちゃん。手を重ねて少女漫画の一コマを想像しているようだ。
しかし翔ちゃんは頭にハテナを浮かべて疑問を呈する。
「少女漫画とか、それこそ意味分からないところばかりじゃん」
「あぁ? 何ですって?」
翔ちゃんの否定に気を悪くした朱里ちゃんが酷く悪い態度を取る。
「何でほとんどのコマに花が咲いてるんだよ。あんなに花ばかり咲かせる意味とか、なくない?」
「これだから何も知らない男は! あれは登場人物の喜びの気持ちとかの明るい心情を表現しているのよ!」
「だからって、花ばっかり描かなくても良くない? あれだけ多いと正直、『もうお腹いっぱい』ってなるんだよね」
「華やかさがあるからに決まっているでしょう! 別にそんなこと思わないわよ!」
「あと、少女漫画のキャラの顔はみんな同じに見える」
「深夜アニメに出てくるようなヒロインだってあたしにはみんな同じキャラに見えるわよ!」
「何言ってんだ! 深夜アニメのヒロインは一人一人みんな違う個性を持っているだろうが!」
「それが分からないっつってんでしょうが! それに、少女漫画の方がラブストーリーとしても納得して読めるのよ!」
「別に少年漫画やラノベのラブコメだって上手いストーリー構成じゃんか! 自分の読解力のなさを棚にあげるんじゃねぇよ!」
「あぁ? 何ですって!?」
「あん?」
ぐぬぬといつも通り言い争いが始まる二人。
うぅ~ん。翔ちゃんに少女漫画は合わないのかな~? 私は少女漫画もときめいて大好きなんだけどな~。
結局苦笑いしかできず、その後仲裁に入る私だった。
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