第一章~影と仲間~
第1話 放課後の教室で見えた影
「あ、トキヤおはよう!」
「おはようユイトー…」
「その顔、また何かあった?」
さすがは友達。
俺の気持ちなんて、お見通しなのか。
「そうなんだよー!課題見せてくれよ!」
「しょうがないなぁ、トキヤは」
そう言いながら鞄を開けて、ノートを手渡してくれる。
「ありがとな!」
俺はユイトからノートを貰い、
教室に向って駆け出す。
俺の担任は、30代の男性教師。
「ふぅ…!間に合って…無さそうだな」
「遅いぞ坂井!」
怒号が飛ぶ。
「坂井、課題は?」
「あ…」
まずい、と思ったのも束の間、俺の右手にあった鞄が、
近くの席の女子生徒に取られた。
そのまま彼女は俺の鞄を漁る。
「あった…!てか何で坂井の鞄の中に飛田くんのノート
入ってんの?まさか、課題やってなかったから
飛田くんのノート見せてもらおうってワケ!?」
「そういう訳じゃねぇよ…!」
「じゃあ、どういう訳だ?坂井?」
答えられずに俯いている俺の頭を
出席簿で叩く。
「いたっ…!」
あははは、とクラスのあちこちから笑い声が聞こえる。
「今日は部活ねぇし、放課後残って終わらせてけよ!
ついでに、飛田のノート預かっとくからな?」
「はーい」
俺は仕方なく答えた。
そして、放課後。
「はあぁ…!」
担任は、窓閉めて帰れよ、と捨て台詞を残して何処かに行ってしまった。
「つっても、やらなかった俺が悪いんだもんな…、
ふぁあ…」
眠くなって来た。
「少しだけ、寝るか…」
俺は誰もいない教室に向かって呟くと机に伏せた。
「誰か」の影が、揺れたような気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます