040 - アンジュ(*^_^*)
よお、俺は
突然だけどこの地球にある日、宇宙人がやって来た。しかもその宇宙人たちは「地球を支配する」と言い出したんだよな。地球やばすぎ。
というわけで各国のお偉いさん方が集まって会議をした結果、とある国が秘密裏に作っていた超大型ロボットで宇宙人たちと戦うことになったんだ。
ただしそのロボット、多くの研究者がめちゃくちゃ力を入れて作ったせいで、自我が生まれたらしいんだよな。ロボットに自我が芽生えるとかマジかよ信じられねぇって感じだろ。
しかもそのロボットの研究チームのリーダーが俺の両親だったんだけど、どうやらロボットを作ってる最中、何度も俺の話をしてたらしくてさ。そのおかげでロボットは俺のことをめちゃくちゃ気に入ってくれたらしいんだよ。俺は一度も会ったことなかったのに。
なあ、もう展開は読めたよな?
頼む、読んでくれ。
そう。俺はそのロボット専属のパイロットに選ばれてしまった。
17歳の誕生日を迎えた日、高校から帰ってきたら、リビングで両親がとんでもなく深刻な顔をしてるじゃん? 何かと思えば「世界のために戦ってくれ」だよ? どういうことってなるじゃん?
ロボットの操作とかやったことないし無理無理! ともちろん拒否ったさ。そしたら父さんが「大丈夫。全部ロボットが勝手に動いてくれる」と言ってきた。
それなら俺が乗る意味なくない? と聞いてみたら、母さんが「あなたが乗ってる方がロボットのモチベーションが上がる……確証はないけど、たぶん上がるから」って。なんだよロボットのモチベーションって。しかも上がるの確定じゃないんかい。
そんなわけで嫌々ながらロボットに乗る羽目になった俺。
初めてロボットに会ったとき、その白い機体は嬉しさのあまり飛び跳ねていた。お前が飛び跳ねると研究所が揺れてマジでやばいからマジでやめてくれって思ったのだけは覚えてる。
こうしてなんやかんやで俺は今日もロボットに乗っている。というか現在進行形で乗っている。俺の現在地は宇宙だ、凄くない?
コックピットにはジュースとお菓子が持ち込めるから快適といえば快適だ。でもすげー疲れる。どうして疲れるかというと、ロボットが戦っている最中に「頑張れアンジュ!」とひたすらに叫ばないといけないからだよ。宇宙人vsロボットの戦いを1人で応援上映してるってわけ。
てかアンジュて何だよって思うかもしれないけど、ロボットの名前ね。どこかの国の言葉で『天使』というらしい。てか俺も杏樹だから凄くややこしい。ロボットの名前を呼ぶのが恥ずかしい。
「アンジュ! あいつが最後だ!」
ようやく最後の敵をレーザーで焼き払うことができた。地球の存亡を賭けた戦いは幕を下ろした。これでようやく、俺もこのロボットに乗らない日々に戻れるというわけだ。この1年長かったな。
ちなみに明日は俺の18歳の誕生日だ。ようやく結婚ができる歳になったので、俺は明日結婚する。
結婚相手? そんなのアンジュに決まってるだろ。
これからはパイロットじゃなくて伴侶として、アンジュと共に生きていくつもりだ。伴侶になるんだから、俺と同じ名前だからって恥ずかしがらず、もっと「アンジュ」と呼ぼうと思う。
まさか1年前の俺は、このロボットのことがここまで好きになるとは思ってもみなかったろう。1年間も苦楽を共にすると、人は変わるんだなぁ。
もうパイロットじゃなくなるから、コックピットには乗らない。
それに、俺がコックピットにいると、アンジュが俺を見ることができない。
だからこれからはアンジュが俺のことを見れるように、アンジュの目の前に立って、アンジュと話すし、アンジュと笑う。
なんでこんなに好きになったんだろうなぁ。ロボットに恋をするなんてなくない? 人生って何が起こるかわからねーや。
「地球に帰るぞ、アンジュ!」
コックピットの中から俺がそう声をかけると、アンジュがこんな顔(*^_^*)をした気がした。
NEXT……041 - ロボヒトラーの大侵略
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885440692/episodes/1177354054885483559
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