そうだね

吉川元景

第1話

あるところに1人の男の子がいました。その家はお父さんとお母さんと3人暮らしでした。

お父さんとお母さんはその子のことを大変に愛していました。


その子は成長し、学校へ行くようになりました。その子は人にとても優しくて友達が沢山出来ました。

少しすると友達はみんなは好きなものが出来ました。休み時間はその話で持ち切りです。その子はいつも楽しそうなふりをして聞いていました。

その子は家に帰りお母さんに言いました。

「学校ではみんなその話をするんだ。僕もやりたい。」

お母さんはそれを聞いて怒りだしました。

「そんなもの好きな子とは遊ばずに、ほかの友達を見つけなさい!」

「そうだね。分かったよ、お母さん。」

男の子はしょうがなくお父さんに同じ話をしました。お父さんは静かに

「周りの何人かが好きなだけだろ。」と言いました。

「そうだね。分かったよ、お父さん。」

男の子はしょうがなく諦めるしかありませんでした。


学校では今日もその話で持ち切りです。

分からない男の子はただ聞いているだけでした。

しかしみんなの言葉が分からないのです。

男の子にはただの音にしか聞こえません。

男の子は困ってしまい図書館でそのことを調べました。図書館にはみんなが好きなそのことの説明はありません。みんなが知っていることだから、教えてくれる人もいません。男の子は困ってしまい、悲しくなりました。


お父さんと行った近所の本屋さんで男の子はその事が書かれている本がありました。

お父さんに「この本おこずかいで買っていい?」と聞きました。

お父さんは「必要ないだろ。」と言いました。

「ごめんなさい。そうだね、お父さん。」と男の子はその本を元に戻しました。


男の子はだんだん放課後も1人で遊ぶようになりました。周りはどんどん新しい知らない話をしています。そこで男の子は本屋で立ち読みをすることにしました。新しいことがある度に本をこっそり読みました。しかし、ある日本屋のおじさんに怒られてしまいました。困って悲しくなった男の子は今度は親にバレないようにこっそり本を買うことにしました。本にはいろんなことが載っていました。本を読んでから周りの話はただの音から言葉に変わりました。しかし新しいことはどんどん増えて男の子なおこずかいがなくなってしまいました。本が買えなくなったまた男の子はひとりぼっちになりました。


ある日、家に帰るとお母さんが怒っています。

お母さんの目の前にはこっそり買っていた本がありました。

「必要もないものにお金を使ったのね!」お母さんは大きな声で怒りました。

男の子は困って悲しくなりました。

何を言ってもお母さんが怒るのが分かるからです。

「お金は大切にしなさい!」

「ごめんなさい。そうだね、お母さん。」

男の子は部屋にとぼとぼ向かい、部屋につくと息を吐いて座り込みました。

男の子は大切な本がなくなって、しかもお母さんが怒ってしまって困って悲しくなりました。

お父さんとお母さんと3人でご飯を食べている時にお父さんが「本は捨てるからな。」と言いました。

「うん、そうだね。」と男の子は言いました。

お母さんは「こんなもの無くても、優しくしていれば友達ができるよ。」と言いました。

男の子は「うん…そうだね。」と言いました。

沢山あったわけではないけど、本がなくなって広くなった部屋で男の子は考えました。


優しくしたって友達がいないのはなんでだろう。

みんなの話が分からないのはなんでだろう。

…僕はなんでひとりなんだろう。


男の子は次の日学校から帰ってきてこう言いました。

「遊んでくる。」

男の子は楽しそうに家を出ました。

行ってらっしゃいと声をかけたお母さんな知らないのです、男の子がどこに向かって何をするのかを。

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そうだね 吉川元景 @motokage_K

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