第9話 作家になるには

 書籍化と相成ったとき、どうするべきか。編集さんはあくまであなたの作品を本にする作業のパートナーです。大まかなことは教えてくれますが、実際に行動するのは自分です。

 面白いお話を書いているそこのあなた。いつオファーが来ても受賞しても良いように、簡単ながら、ワナビから書籍化作家へのクラスチェンジ手順をお話いたしましょう。


 さて、書籍化についてはいろんなルートがあります。まずは出版社への持ち込み。コンテストの受賞、そして投稿系HPへ載せている作品へのオファー。

 昔は持ち込みしかなく、原稿を出版社に郵送していたのです。それが今はメールにファイルを添付してポチで終りですから便利になったものです。


 話がそれました。まず私の場合は、投稿系HPの作品に対するオファーでした。しかも、コンテストに落選した次の日にメールが来ていたのです。

 最終選考まで行ってて少し自信があったので、落選による落胆が多少あり、メールも見てませんでした。そして、メールの内容を確認して、地獄から天国へ! その辺は第1話に書かれておりますので、そちらを参照ください。


 さて、書籍化をすることで何が起こるか。ぶっちゃけてしまえば、印税が入ります。大体の方が、ここについて知りたいんじゃないかなーと思います。自分もそうでしたし。


 さて、印税というのは出版した著作物に対しての、要するに作家の取り分ということです。契約については人それぞれですので、あえて内容についてのコメントは避けますが、金額としては、出版印税という形を取られていることが多いようです。

 要するに発行した部数分の印税が作家に入る形ですね。ほかにも販売した分の印税が入る場合もありますし、そのあたりがそれぞれというわけです。

 収入について、具体的に言うと、例えばですが初回発行部数が5,000部、印税率が10%、書籍の単価が文庫で600円とします。

 600×5000×10%で30万円が作家に入る収入となります。ただしあくまでこれは総額であって、お勤めの方ならば想像がつくかと思いますが、お子から税金などが差っ引かれます。

 源泉徴収が10%一律でされるようですから、まず手元に入るのが27万円です。だいたいこんなもんですね。

 書籍化にかかる期間、平均はわかりませんが、私の場合、編集部立ち上げの期間もありましたので半年ほどでした。仮に3か月で出したとしても、月で割ると10万弱。ちょっとしたフルタイムパートと同じくらいでしょうか。

 毎月本を出せればいいのですが、さすがにそういうわけにもいきませんし、書籍化って思うほどもうからない? はい、そういうものです。

 ですから、書籍化するにあたって編集さんは間違いなく、今やってる仕事は辞めないでくださいと言ってきます。

 書籍化オファーの時点では、ほぼ白紙です。続刊するかも全く不明です。増版すればその分はまた印税が入りますが、ね。

 オファー時点では仮手付のような状態で、本を出しませんか? という程度のニュアンスです。手直しの進捗やその内容によっては白紙になる可能性もあります。作業をある程度進めて形になった、本として売れる、というめどがつくまではどう転ぶかわからない部分があるんですね。

 そもそも企画が通らなかったらどうしようもないですし(笑)


 ちと話がそれました。書籍化、すなわちデビューのオファーが来た皆さまは、作家という職業になります。これはある意味名乗ったもの勝ちな肩書ですが、出版社から本が出るとなれば、立派な作家です。


 では何をするべきか。名刺を作るのか、サインの練習をするのか? イベントとかのオファーが来たらどうしようと妄想を膨らませるのもいいでしょう。むろん書籍化というのは、元の作品そのままというわけには行きませんから、手直しやストーリーの構想も必要でしょう。


 さて、それまくった話を元に戻しますと、まずは「開業届」を提出します。同時に青色申告の申請を行います。

 これは居住地の所轄税務署において行うことになります。マイナンバーカードが要りますので、必ず持っていきましょう。

 届には、住所氏名などを書いていきます。そして業種を書きますので、ぜひ最高のドヤ顔で「作家」と書いてやりましょう。私の時は鼻で笑われました。

 同時に青色申告の手続きを行います。基本、説明通りに書類を書けば問題ありませんでした。

 これで、法律上の意味合いで、あなたは「作家」という職に就いたことになるのです。

 続きは次回にて。

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