第六十八話 女神の剣

 翌日、起床したカリーヌとエリーは、サリー達とレストランにて合流して朝食を取っていた。


「さて、俺達は、もう一度裏カジノへ向かうが、カリーヌ、エリー、サリーはどうするのだ?」

「そうね。私は、ゲームセンターで遊んでくるわ」

「大丈夫か? サリー。変な男達がくるかもしれないぞ?」

「大丈夫よ。そこは、レッドとイエローに護衛して貰うわ」

「そういう問題じゃないのだが、エレンとミヤは、大丈夫か?」

「俺らは、大丈夫だけど、カリーヌとエリーは?」

「私達は、大丈夫よ。お兄様。私達は、観光でもしていくわ。心配しないで護身術は完璧だから」

「……そうか。無茶をするなよ」


 カリーヌとエリーは、なんとか寛二達に気付かれずに済んだようだ。二人は、彼らの姿が消えるのを確認すると、待ち合わせの串カツ屋に向かった。


「あら? 随分早いわね?」

「それは、楽しみで仕方ないのよ」

 串カツ屋に到着すると、ルビーとアクアマリンがいた。


「あんたら、大丈夫なの? スーツ姿で、寛二達に見られたら」

「心配するな。周りは、お前達を知る連中の姿は確認されていない。安心しろ」

「分かったわ」

 

 ルビーとアクアマリンは、二人を地下闘技場へと案内する。まず、『円海女性ビル』に入ると、奥にあるエレベーターに入る。ルビーは、パスワードを階数のボタンで打ち込むと、存在しないはずの地下へと降りる。


「うわー! すごいわね!」

「言葉を失いそう!」


 その地下闘技場『女神の剣』は、奥へと続く赤いカーペットが敷かれており、その側面には、受付、控室、自動販売機が置かれており、天井付近には、明かりや旗などが掲げられていた。


「ここが、『女神の剣』。女性が戦う神聖な場所。いつ造られたのかは、不明だが戦後直後から創設されたらしい」

「どうして知ったの? この闘技場は?」

「あたしが、幹部なりたての頃にとある人の紹介でね。始めは、緊張したけどやり始めたら依存症レベルになってね。隙を突いて通っている」

「そうなの」

「それと、この闘技場の掟を説明するぞ」


 アクアマリンは、この闘技場の掟を説明した。一つ目は、特定の大会以外の武器の使用禁止。二つ目は、人を殺めてはいけない。三つめは、上半身裸で戦うこと。この三つだけである。


「へぇー! 最後のルールに関してだけど? まさか、観客に男性はいないでしょうね?」

「もちろんだ。観客もみな女性だ。男性は立ち入り禁止だから、安心してくれ。昨日、ルビーが話したはずだが?」

「そうだったわね、ごめんなさい。受付は、何処なの?」

「あそこよ」


 カリーヌ達は、闘技場の受付に向かった。


「ようこそ、『女神の剣』へ」

「大会に参加したいのだけど」

「そうですか。現在受付中の大会はこちらです」


 受付は、カリーヌ達にタッチパネルで現在受付中の大会を表示した。大会には、ソロマッチ、コンビマッチ、トリオマッチ、カルテットマッチなどあるが、カルテットマッチしか受付していないようだ。


「あら、これしかないの?」

「すみません。現在はこれしかないのです」

「そう。では、カルテットマッチに参加するわ。私とエリーは、初めてだから説明してね」

「分かりました。それでは、ルールを説明します。ルールはいたって簡単。トーナメント方式の勝ち抜き戦です。制限時間は無制限で、四人とも全滅したら負け。ただし、一人でも殺めてたら即失格です」

「分かったわ」

「それでは、こちらに名前を入力してください」


 カリーヌ達は、タッチパネルに名前を入力した後、控室へと案内された。


 控室に案内されると、カリーヌ達は、早速、上の服を脱いで上半身裸になり、体操しながら、準備していた。

「ルビー、アクアマリン。あんた達の胸が大きいね」

「あら? 言ってくれるじゃない? あんた達こそ、大きいけど?」

「ありがとうね」

「否定はしないのだな」

「すみません。そろそろ、大会が始まります」


 この闘技場の関係者が、大会の開始の知らせて、彼女らを闘技場へと案内した。


「さぁー! 始まりました! カルテットトーナメント! これから、熱い大会が始まるわよ!」

 アナウンスの声を機に観客達は大興奮をした。

「それでは、一回戦! カリーヌチーム対ミス大阪チーム!」


 カリーヌ達は、早速リングに上がる。相手は、ミス大阪の歴代の美女四人組だ。

「さっそく、始めるわよ!」

「ルビー、アクアマリン」

「分かってるさ。エリー」

「あんた達こそ、負けないでね」


 その時、開始のゴングが鳴り、戦闘を始める!彼女らは、卓越した格闘技を駆使して、ミス大阪を撃破する。その後次々と勝利し、決勝戦まで進む!


「さぁー! いよいよ決勝戦! カリーヌチーム対大阪円海プロレス!」


 彼女らの前に現れたのは、女性の体格と思えない女子プロレスラー四人組だ。


「お前らが対戦相手かい? よく、そんな胸を大きいだけの華奢な体で勝てたわね?」

「あら? 試してみる? 私達、こう見えても強いのよ?」

「この小娘! 公開させてやる!」

 カリーヌの挑発にそのチームリーダは、激怒した!


「エリー、ルビー、アクアマリン。行くわよ!」

「了解!」

「もちろんよ!」

「あぁ」

「それでは、決勝戦! スタートです!」


 決勝戦の開始のゴングが鳴り、優勝を賭けた闘いが今始まる!

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