第五十三話 柴﨑のシノギ
一方その頃、セレンとエレノアは、それぞれの専属執事であるブルーとグリーンである2人と共に柴﨑のシノギである裏カジノへ向かうことに。
ちなみに、彼ら専属執事は、『聖女の騎士団』との戦争が始まる以前、350年前から生きている者であり、生まれた頃から名前が無く、先代の執事から教育をされ、可哀そうだが、それぞれ色の名前が付けられた。勝利した後は、秘密の場所で封印し、その時を待っていたらしい。
「エレノア様。奴の裏カジノの場所ですが、松岡さんの組事務所から南にある千楽クイーン通りにある千楽書店というとても小さな本屋があります。その奥に奴のカジノがあります」
「そうですか、分かりました。グリーン」
「それと、お2人さん。くれぐれも無理しないでね」
「承知」
セレン達は、周りを警戒しながら目的地の千楽書店を目指す。
千楽クイーン通りに着いたセレン達。この通りは、キャバクラやガールズバーなどの女性達がしており、ほぼ、女性しかいないことから、千楽クイーン通りと言われている。
千楽書店に着いたセレン達。いかにも、場違いな存在感を出しているが、それなりに繁盛しているらしい。
書店の中に入ると3人くらい客が入っており、古い小説や自伝などが置かれている。
正面に店主と思われる男がいて、カウンターで暇そうにしている。
すると、ブルーが話しかける。
「あのすみません、探している本があるのですが」
「本? どういうもんだい?」
「オセロの必勝秘伝ってありますかね?」
店主は、眉を動かしこう言った。
「左にあるトイレ前の物置の扉からどうぞ」
「行きますよ」
ブルーの後をついていき、トイレの前にある物置と書かれたドアに手をかけ、赤の箒を持ち、2回、壁を叩くと、その壁から地下に通じる階段が現れ、その階段を降りていった。
階段を降りていくと、金色の扉が現れ、中へと入る。すると、そこには、大富豪、スポーツ選手、タレント、それに敵対関係の阿修羅会の幹部までもが、ギャンブルに興じていた。
「嘘でしょ!? あいつ、中国の芸能社長よ。悪い噂が絶えないと聞いたけど、あの様子じゃ、噂通りの人間ね」
「セレン様、それに阿修羅会の人間もいます。ここで、龍神会の情報も流しているのでしょう。僅かに、じわじわとね」
「なんか、兄上達が来ていた軽井沢とは大違いの下品ね」
「とりあえず、私とグリーンは、近くで監視しながら、守ります。セレン様とエレノア様は、遊びながら情報を集めてください」
セレンとエレノアは、2人に守られながら、遊びながら情報収集行った。何か知ってそうな人間を見極め、接触を試みる。
「20。貴方方の負けです」
「負けたわね」
「兄上の運を分けて欲しいですね」
「ん? エレノア。あいつらは、どう?」
セレンが目を向けたのは、ソファーで、シャンパンを飲んでる赤色の大富豪の男だ。
「そうですね。接触してみましょうか」
「お客様方、どうしますか? 継続しますか? おりますか?」
「おりて、ギャンブルをやるか考えるわ」
「分かりました。お待ちしております」
セレンとエレノアは、その男に接近し、話しかける。
「お隣良いかしら?」
「いいぜ」
「ありがとう」
「失礼します」
2人は、男の両端に座り、このカジノについて話をすることに
「しかし、綺麗わね。ディーラーも良いし、食事も良いし、最高ね」
「綺麗ね。ま、マシなほうだと思うが」
「ここは、龍神会の柴﨑さんが経営しているんですよね?」
「ああ、龍神会直系柴﨑組組長、柴﨑譲二。やつが、昇格してから、このカジノを経営している」
「なかなか、売り上げが良いでしょう?」
「どうかな? 客である俺にも分からない」
「柴﨑さんは、どういう人ですか?」
「注意しているけど、少し抜けているところがあるな」
「どういうことかしら?」
セレンは、男にその理由を尋ねた。
「奴は、警戒すべきところは、全て把握している。だがな、見落としところがあってな。やばい稼業で新薬『ロンギヌス』の実験体の提供している。それが、『水谷製薬』と契約関係があるというのは、知っているだろう? この前、学園都市アーサーにあるトリニティホテルの会合で、謎の集団による妨害で、損失を得て、あのアマらに叱られたって話だぜ?」
「なるほど、アマらとは?」
「『聖女の騎士団』じゃないか。そいつらと共に、超人を作って何かを仕掛けようしているのだろう。ちなみに、そのホテルは他のグループに買収され、本田ホテルに変わったけどな」
「ふーん」
(バレてないようですね)
「あ、そういえば。千楽町に龍神会の直系組長と会社の企業が死んだという話が聞いたんだけど」
「ああ、田中と橋本か? あれね」
男は、周りをキョロキョロしながら、こう言った。
「これは、あくまで噂なんだがな、言うなよ?」
「もちろんよ」
「約束します」
「まず、田中の件だがな、他殺らしい」
「他殺ですか」
「ああ、奴の武器を持つ手が反対というのが、不自然だしな。他殺の可能性があるって。それに」
「それに?」
「殺される前日、アマらのボスとアーサーラウンズの1と2が組事務所に入っていくのを見たらしい」
「え!?」
「なんで!?」
「さあな、もしかしたら新薬に関与しているかもな」
エレノアは、その理由を聞いてみる。
「どうして、そう思うのですか?」
「実は、騎士庁には、『新薬実験部』という隠されたところがあるらしい」
「何それ? 薬を兵器として使うのは、禁止のはずでは?」
「もちろん、禁止さ。「薬による兵器、人体実験などを行ってはいけない」と国際法に書かれているからな。騎士庁の連中は、それを密かにやってんだって。詳しく言うと、そこで彼女ら、柴﨑と共に人体実験をして、監禁したりしているらしい。あくまで噂だけどな」
「そうだったんですか」
衝撃的な情報を聞いたあと、橋本について聞いてみる。
「橋本は、どうなの? それも、騎士庁と関係してるの?」
「騎士庁とは、関係ないだろう。あの男殺してもメリットが無いから」
「誰が、殺害したの?」
「さあな、ただ」
「?」
「ライバル企業が、彼女らと繋がっているのを知って、倒産させようとして、始末されたじゃないかって」
「企業の名は?」
「先ほど、言ったその企業のグループ会社『水谷食品』さ」
「『水谷食品』ですか?」
「恐らく、スパイでも送りこんで、繋がっていると分かったんじゃないか?」
「会長、そろそろお時間です」
男の秘書と思われる黒服の男が知らせに来た。男は、「これで、失礼するよ」と2人に挨拶し、立ち去る。
ブルーとグリーンは、松岡からの情報で、「柴﨑組事務所が、何か祝い事してるので、田中組事務所跡のビルを調べてください」と2人に伝えられ、裏カジノから出ることに、すると
「「きゃ!」」
セレンとエレノアが、銀の長髪の美女とオレンジの長髪の美女の肩とぶつかる。
「すみません、大丈夫ですか?」
「大丈夫です。ありがとうございます」
「ごめんね。痛かったでしょ?」
「大丈夫だよ! こんなの慣れているから」
「セレン様、エレノア様! 前を見てください! すみません、以後気をつけるので」
「大丈夫ですよ。もう行ってください」
「ほら、行きますよ」
ブルーとグリーンは、やれやれと思い、2人を連れていく。セレスがエレノア達と出ていく際に小声でこんな事を言った。
「あの2人、なんか世間知らずな顔をしているわね」
それを聞いた銀の長髪の美女の眉がぴくっと動いた。すると、ある2人に指示を出した。
千楽書店に出た後、南東にあるソルト通りにある田中組事務所に向かう。出た途端、数人の男に囲まれる。
「なんだ、貴様らは?」
「セレンさんとエレノアさんですね?」
「無視かよ」
「貴方達は?」
「
「それにしても、気品さがありますが?」
「身だしなみは、しっかりしないといけませんからね。ここでは、あれなんで近くの見通しの悪いところの路地に行きましょう。市民らに見られたら、マズイので」
「分かったわ」
セレン達は、不審に思いつつ、その路地へと案内された。
その路地へと案内されると、そこは、1つの道しかなく、店のゴミ捨て場などが置かれている。セレンが口を開いた。
「で? 話したいことというのは?」
「「ぐは!」」
その時、ブルーとグリーンが、数人の内の1人に数発殴られ、倒れてしまう。セレンとエレノアは、すぐさま駆け寄る!
「ブルー! グリーン! しっかりしなさい!」
「その2人、弱いんだね。残念だね」
セレンとエレノアが声をした方向に目を向けると、シュテルとマイケルと同年代の銀髪に緑の瞳とオレンジの髪に黄色の瞳をした執事服の青年が現れた。
「なんですか!? 貴方達は?」
「その前にさ、セレン。何か謝罪すること無い?」
オレンジ髪の青年が、目を輝かせて、セレンに言った。
「謝罪? 貴方に謝罪することなど無いわ」
「えー? ひどいですよ。忘れるなんて」
銀髪の青年が、髪をくねらせながら言った。セレンとエレノアは、何か狂気と違和感を覚え武器を持って身構える!
「貴方達、何者?」
「そんなの、言うはずが有りませんよ。非礼な2人のくせに」
「ね? 本当に分からないの?」
「分かるはずが無いでしょう! はっきり言いなさい!」
エレノアの言葉に男達が襲うとするが、銀髪の青年が、見た目から想像つかない低い声で制止する。
「手を出すな。こいつらは、僕と彼で制裁する」
銀髪の青年は、杖。オレンジ髪の青年は、短刀で構える!
「では、行きますよ! ……この無礼者!」
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