第四十七話 公開と気づかぬ裏切り
シュテル達が水泳場にいる頃、『聖女の騎士団』のアジトの幹部専用リビングで、サファイアが、ルビーとアメジストとアクアマリンに追求されていた。
サファイアは平然を装っているが、三人は怒りの表情をしていた。
「上の存在ですか?」
「そうよぉ! あんた、あたしの部下が調べたところ、ボスの師匠を復活させる為に薬を完成させようとしたんじゃない? あたしらの目的は最初からどうでも良いことだろぉ!?」
「もちろん、証拠を掴んでいる。お前が柴崎との会話でボスの師匠が映り込んでいる映像を手に入れている。」
「何で、言わないのかしらぁ?」
「言っている意味が分かりませんね」
「おまえぇ!」
ルビーが、サファイアを殴ろうとすると
「そこまでよ!」
「!
(助かりましたね)
「サファイア、もうやめて。これ以上を隠せば、組織としての基盤が崩れる」
「分かりました」
「ボス、何で隠したんですか? 最初からその目的があれば」
「情報の流出の可能性があるからだよ。アクアマリン」
「! 何だと!?」
「どういうことよ?」
「フフフ、すまないね」
三人は、突然現れた青の『彼』たちの姿に驚きを隠せなかった。サファイアはボスに呆れた表情で見た。
「流出の可能性? どういうことですか?」
「君らを信用してないと思っているようだが違う。構成員の中で不満を募る者がいてね。君らに流すと奴らの耳に入り、敵に情報を与える可能性があるから黙っていたのだよ」
「つまり、裏切る可能性があると?」
「そうです。アメジスト。できれば僕達は部下たちを殺したくない。そんなことをすれば、余計に亀裂が走るからね」
「そうですか」
「それとね」
赤の『彼女』は、人さし指を二回横に振ってからこう言った。
「この件に関しては、エメラルドとシトリンには話しているわ」
「はい」
「だから、今の事は絶対に内緒して欲しいのよ。もちろん、あんたたちの目的も本命の一つだからね! 下の連中に対策を施すから」
「分かりました」
「それとさ?」
すると、黄の『彼女』は、あの二人について尋ねた。
「賊ににあった青と緑は? 」
「紳士の奴とオカマですか? 連絡は来てないですが」
「……アメジスト、アクアマリン。後日、あの2人を始末してくれる? 理由は、後で話すから」
「はぁ。分かりました」
「あ! 重要な事を思い出した」
「何でしょうか?
「実はね、我々の情報を流している裏切り者がいるのかもしれないのよ」
「裏切り者!」
「うん。青の奴が、
「え!? じゃ、そいつらの中にいるのですか?」
「だから、サファイアとルビー。その裏切り者を捕まえてくれる? 捕まえて殺してね」
「分かりました」
「そう言えばさ、エメラルドとシトリンは何処いるの?」
「横浜で宝石の大きな取引をしていると私が言ったでしょ」
「そうだったね。でも、あの二人だけやらないのは不平等じゃない?」
「そうだ。今すぐ、ここに戻らせ」
「黙りなさい! 大きな取引で慎重に数日掛かる仕事です! 文句を言うならげんこつしますよ?」
「「「す、すみません」」」
(まったく、困ったもんですね)
三人は、サファイアのオーラに怯えながら再開した。
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