第四十四話 奇跡の‘裏’

  シュテル達がダイルとケビンとの会話していた頃、中流シルバーのエリアにある森本家が経営している5階建ての『森本ビル』の最上階の部屋にて、シュテル達4人の達が恐怖で頭を下げたままにいる。

 その目の前には、聖女マリアと『ある四人』が怒りの表情で見ていた。


「全く、君達は、何てことをしたんだ! の奴らを蘇らせるとは! ホテルの時まで、気付かなかったとは! サファイアの話を聞いてミスが明らかになったからな」

「……」

「幸いなことに、あと2人との執事残っている。特定は、出来ているのだろうな?」

「いや、それが……全く分かっていません」


 すると、それを聞いた黄色の瞳をした『彼女』がこう言った。


「てめぇ! 馬鹿か! 特定も出来ねぇとは! 役立たずが! こうなったら、死んでみるか?」

「ひぃ! それは、勘弁してください! どうか命だけは!」


 カリーヌののオカマが、涙を流しながら懇願した。


「まぁ、ある程度は、仕事は出来てますからね。使えるほうに入りますが」

「……」


 すると、青い瞳の『少年』が、彼らにある条件を出す。


「では、君達。残りのを特定し始末しろ。奴らから上手く聞くなり、戸籍などを調べなり、君達に任せる」

「もし、失敗したら……分かるわね?」


 赤い瞳をした『少女』が、睨みを効かせ、彼らを怯えさせる。


「分かりました! 必ず、成し遂げて見せます!」


 彼ら4人は、礼をしてこの部屋を出た。


「大丈夫ですかね? 彼らは?」

「さぁな? それで、森本のほうからは?」

「はい。初めてとなる記念すべき『研究体R01』は、青のと仲間の谷村によって倒されましたが、身体能力がかなり上がっていますので、薬は、進んでいます。ご心配なく」

「そうか。では、『研究体B02』のデータを頼む。もちろん対象は、こいつだ」

「分かりました」


 青の瞳を持つ『少年』は、聖女マリアに顔写真を渡し、退出させた。

 『研究体B02』とは一体?


 翌日、シュテル達は本拠地『アルティメットアーサーハウス』にて、休んでいた。

 シュテルとマイケルと寛二は、最上階にてパソコンを使い調べもの。

 カリーヌとエリーは、朝のシャワーを浴びていおり、サリー、エレン、ミヤは、48階のトレーニングルームにて力を蓄えていた。


「まずは、『水谷製薬』が作った『ロンギヌス』だ」

「あぁ」


 シュテルは、パソコンを巧みに使い『ロンギヌス』について調べた。


「『ロンギヌス』は、難病SMAによる脊髄の前角細胞と脳幹の運動ニューロンの変性によって引き起こされる遺伝子疾患らしいね」

「遺伝子疾患?」

「医学に関しては、僕は普通レベルだから分からないけど、ここに書いていることから、分かることは、要するに、筋肉が萎縮してしま難病らしい」

「この『ロンギヌス』は、どう効果あるのですか?」

「前述に書いている脊髄と脳幹の通常の動き働き、筋肉を元に戻す効果があるらしいね。現時点では、まだだけど、近い将来に完成する予定らしいね」

「でも、それはだろ?」

「そうだ。瀬山によれば、本当の薬である『マリアヴィーナス』が開発され始めたのが、『水谷製薬』が創設された時から。そして、柴崎が開発に関わったのは、去年かららしい。それまでは、彼女達からこの会社関係の下請けをしていたそうだ」

「で? この社長が?」

「あぁ」


 シュテル達3人は、創設者挨拶のページにある顔写真を見た。


「『水谷製薬』社長、水谷浩一。彼女達と繋がりのある男だ」

「大学院を卒業とか書いてるけど、嘘書いてやがる。大学院通える金が無い癖に、よく組織の枝としてやってたのに」

「でも、どうやって経歴を変えたのでしょう?」

「買収したところに入れたかもな」

「説明してくれ」

「俺が二時間ぐらい寝る時間を削って調べたんだが、『聖女の騎士団』には、目黒区にある『関東薬学医療大学』というダミー大学をもっている。その理事長と副理事長は、幹部のアメジストとシトリンの側近として勤めているらしい」

「でも、学生にはバレるじゃない? 彼を紹介する番組など放送すれば、すぐに」

「洗脳されているんだ」

「洗脳ですか!?」

「そうだ」


 谷村は、洗脳されている理由を話す。


「俺の知り合いに、裏情報屋がいてな。そいつに聞いてみると、入学試験に合格すると、特殊な部屋に案内されるらしい。そこで、洗脳魔術を使って記憶を書き換えるなりして、忠誠を誓っているらしい。それに、マスコミ対策もしているからな。どんだけ調べてもボロは、出ない」

「それなら、説明がつくな」

「それに、恐らく田中の奴は、柴崎と『水谷製薬』との関わりを知ったうえに、この大学も関係があると知ったのだろう。それで、聖女マリアか、幹部に」

「でも、橋本はどうなるですか? 彼の業界とは、関係ないですよ?」

「分かるかよ! マイケル! それが、分かれば今頃解決しているよ!」


 3人が話し合っていると、朝のシャワーを浴び終えた全身バスタオルを巻いたカリーヌとエリーが出てきた。


「どう? 調子は?」

「わずかだけどね? 無いよりはマシだろう」

「それにしてもシャワー浴びると熱いわね」

「そうね」


 すると、カリーヌとエリーがバスタオルの一部分を外し、上半身裸になり豊満な胸と美しい括れが露わになった。


「ちょい! ちょい! ちょい! 何してるだ!? お前ら!?」

「は? 熱いから、上半身裸になっただけだよ? 寛二」

「だからって! 羞恥心は無いのか!?」 

「何言ってるの? あるに決まっているじゃない?」

「だったら、着ろよ!」

「でも、シュテルとマイケルの前では別に恥ずかしくないもの。だって、シュテルとマイケルは、私とエリーの貴公子プリンスだからね!」


 カリーヌが、シュテルに向けてウィンクすると、シュテルはカリーヌの顔と体を見たまま顔を赤めていた。

 エリーは、マイケルの元へ近寄り自分の胸をマイケルの顔に近寄り囁く。


「マイケル。私の胸どう? 大きいでしょ?」

「と、とととても大きいです。それに美しい」

「嬉しい! そんなこと言われると嬉し涙を流すわ!」


 マイケルとシュテルは、何とか冷静を保とうするが、男なのか、どうしても見てしまう。

 それを見たカリーヌとエリーは、その様子を見て可愛いと思い、自分の胸をさらにシュテルとマイケルに近づける。

 このままでは、2人が失神すると思った寛二は、カリーヌとエリーに止めるように言った。


「おおおい! もうやめろ! 2人が限界だ! 早く離れて着替えてくれ!」

「えー! それじゃさ? シュテルとマイケルが、私とエリーの胸を10秒間揉んでくれたら、離れてあげる」


 カリーヌの要求に、寛二は、シュテルとマイケルにアイコンタクトで「早くやれ」とやる。

 シュテルとマイケルは、それぞれカリーヌとエリーの豊満な胸を揉んだ。

 カリーヌとエリーは、最愛のパートナーに揉まれるのを幸せに感じており、シュテルとマイケルは、冷静を必死に保ちながら、胸の柔らかさを堪能する。

 揉み終えた後、カリーヌとエリーは、満足したのか、着替える為、脱衣所に向かった。


「大丈夫か? 2人とも?」

「ななな何とかね」

「大丈夫です」

「正直なところ……どうよ?」

「正直なところ……とても幸せだ」

「何回でも揉みたいです」

「……では、続き行くぞ」


 寛二は、赤く染まっている2人を見た後、シュテルに橋本のことについて調べるよう言った。


「橋本卓志。西日本を中心に展開する中華チェーンの〈橋本中華〉の社長だね。創業35年か」

「この白ひげのジジイが橋本卓志か。如何にも、やーさんのツラしてやがる」

「公式サイトの挨拶には、「お客様に笑顔と美味しさを。社員には、明るく優しく、時には厳しく。家族の一員として育てています」と書いてますね」

「写真では、社員が明るく表情で働いているのが、沢山あるな」

「シュテル。「橋本中華、口コミ、評判」と検索してくれ」


 シュテルは、そのワードで検索し口コミのスレッドを見てみると?


「うわー。悪いのばかりですね」

「「休みは、月に2回。多い時には、4回。残業が一日5時間で朝の9時に店に着かなくてはならない」、「給料は、控除を抜くと8万! ふざけるな! ボーナスは、2万! あのくそジジイ! 自分だけ、4000万もらってふざけるな!」だとよ」

「これは、かなりのブラックですね。よく過労死しませんね」

「オマケに、独自のルールがあるらしい。「月に1回、社長への感謝文を送る」とか「社長が話す時は、床に正座しながら聞く」とか書いてある」

「酷すぎる」

「でも、奴が死んでからは、息子が継いでいるみたいで、環境は変わらないけどな」

「で? こいつの本社は、何処にある?」

「円海街……阿修羅会のお膝元ですね」


 それを聞いた寛二は、舌打ちをする。


「やーさんの縄張りなのか。あんまり騒がないほうが良さそうだな」

「そうですね。目をつけられると困りますし」

「どうするんだ? やることは、3つとしても内容がデカすぎる」

「そうだな。柴崎と2人の死については、夏休みに入らないと難しいな。千楽町と円海街の2つは、2グループに分けよう。全員で調べれば、目立つからな」

「まず、最初は、お前とマイケルの妹と執事4人を蘇らせる」

「あぁ」

「確か、特定は出来てるんだよな?」

「そうだ。父上から、写真をもらったからね」


 シュテルは、ダイルからもらったターゲットの写真をテーブルの上に出した。

 そこには、かつてのカリーヌとエリーと同じ姿の2人の顔写真とかつてのシュテル、マイケル、エレン、ミヤと同じブサイクな男だ。

 

「かつてのお前とマイケルは、こんなだったのか?」

「そうだ。あの頃の僕達は、堕落した生活をしていたのだからな」

「本当、この姿になってよかったですよ」

「そうか。そう言えば、シュテル」

「ん? どうしたんだい?」

「ここには、があると聞いたが?」


 寛二の問いにシュテルとマイケルが口元に笑みを浮かべた。


「そうだよ。そこらへんのとは、比べものにならないだからね」

「フフフ。僕達は、更なる高みを目指すのです。最初は、首を横に振って欲望を抑えたのですけど。やっぱり、強くなるには受け取らないと」

「ほぅー。随分嬉しそうだな?」

「嬉しいさ。さぁ、カリーヌ達を集めて受け入れようとしよう。僕達は、でもうじゃないからね。」




 第五章 奇跡と仮面 終
















 

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