第四十三話 矛盾という混乱

 2人は、警察に見つからずに『アーサータワー』到着し、『アルティメットアーサーハウス』の入り口となるエレベーターに乗り、カリーヌ達が待つ最上階へと到着した。

 

「ここか、『アルティメットアーサーハウス』の最上階か。良いセンスしてやがる」

「カリーヌ!」

「シュテル! お帰り!」


 カリーヌは、飛びついてシュテルの体に抱きついた。シュテルは、カリーヌの頭を静かに撫で撫でしていた。


「ただいま。カリーヌ」

「シュテルなら、きっと帰ってくると信じていたよ! だって、私の愛するパートナー、青の貴公子サファイアオブプリンスだからね!」

「カリーヌ」

「ん? ところで、マイケル。増田と豊川は、どうした? 寝室で安静しているのか?」

「俺ら2人ならここだぜ?」


 シュテルと谷村が、声のしたほうに振り返ると、そこには、赤の貴公子ルビーオブプリンスとして生まれ変わった増田と黄の貴公子シトリンオブプリンスとして生まれ変わった豊川がいた。


「! お前ら、増田と豊川なのか!? もしかして、シュテル達と同じのを!?」

「そうよ! 『変身』したのよ」

「どうやって!?」

「説明するわ」


 カリーヌは、『変身』の経緯を説明し、それを聞いたシュテルと谷村は、納得した。


「そうか、確かにな。このままでは、ヤバイ展開になっていたな」

「しかし、良かったな。2人。これで、僕らと同じ真の財閥プラチナの仲間だ」

「そうだな。増田、豊川。おめでとう」

「寛二」

「ん?」

「俺らは、豊川剛と増田圭司じゃない。今は、お前が話しているのは、なんだ」

「……なるほどな。つまり、俺が知ってるは」

「そう」


 カリーヌは、真剣な表情で谷村を見てこう言った。


「もう、この夜を境にして豊川剛と増田圭司は、。今、目の前にいるのは、私の兄、エレン・マルースとエリーの兄、ミヤ・キャロルよ」

「エレン・マルースとミヤ・キャロルか。ふん。豊川と増田の野郎、しやがって。中々やるじゃねぇか。オマケに、シュテル達と同じく孤児院だからな」

「谷村」

「あぁ、分かっているさ、シュテル。おい、エレン、ミヤ」

「何?」

に伝えてくれ。「親友になってくれてありがとう」とな」


 谷村が、優しい笑顔で2人に言うと、豊川…いや、エレンとミヤは笑顔で承諾の返事をした。


「あぁ! 分かった!」

「しっかり伝えておくよ! 寛二君」

「さて、問題は、こっからだ」


 シュテルが、今後について話す。


「冤罪の件だ。いつまでも、ここに隠れていれば、彼女らの計画が進んでしまう。その為には、晴らさなければならないが」

「その必要は、無いよ。シュテル」

「! 父上! それに、カリーヌの父君も」


 シュテル達の後ろに現れたのは、学園長のダイル・アルフォードと副学園長のケビン・マルースだった。


「お父様! どうして、ここに?」

「助ける為と真相を話しに来たんだよ。カリーヌ」

「そうだな、ケビン。我々は、だからな。その点については、聞いているだろ? に」

「え? って、僕の執事のことか? それが、どうかしたのか?」

「あぁ、実はな、君達の執事はな、じゃないんだ」

「何!?」


 シュテル達は、この事について驚愕するが、谷村だけは、予想通りという表情をしていた。


「やはりか」

「気付いていたのかい? 谷村君」

「気付いていたというか、『倉庫港』のシュテルの発言に嫌な予感がしていたんだ。普通は、絶対にいつでも連絡を取り合えるようにするのが、だ。それが、数日間取り合えないのは、おかしいなことだからな」

「そうか」

「で? 説明して貰えるだろうな? ダイルさんよ?」

「もちろんだ」


 ダイルは、こう言った。


「実はな、シュテル達のの正体はな、『聖女の騎士団』のだ」

「なんだと!?」

「『聖女マリア』の執事なの!?」

「正確には、の執事だけどな」

「ん? どういうことだ?」

「中山……いや、シュテルだな。奴らが接近した理由はな、君達をだと思い完全復活するためだ」

「完全復活ですか?」

「シュテル、メイド長の話は、聞いているな?」

「あぁ」

「実はな、『聖女マリア』には、師匠と呼ばれる4人がいてな、そいつらは、謀反の時に、肉体を失ってな。彼女は、その尊敬する4人を蘇らせる為に、いろいろ試行錯誤したのさ」


 それを聞いたシュテルは、ある考え導き出す。


「つまり、を開発、実験している真の理由というのは、彼らを蘇らせる為か!」

「そうだ。超人の兵士を作る等も、理由だが、一番の理由はそれだろう。」

「でも、謀反の理由はどうなるのよ? これとは関係無いんじゃない?」

「関係あるさ。彼女が謀反した理由は、シュテルの時にが、言っていた事と、それを操り、世界を支配するのは自分達だと思っているからだ。そして、を完成させて完全復活と軍隊を形成するために、必要なのが」

「『生命の泉』か」

「そうだ。奴らがつくったいるのは、一部の生命の泉の技術に関する文献を使って作り上げているからね」

「でも、どうして僕達4人をだと思ったんだ? それに、あのホテルでの話の件についても」

「おそらくだが、彼らは、東京郊外の孤児院にいたの思われる」

「何だと!?」

「多分、そこで力を解放する時を待っていたのだろう」


 これを聞いたシュテル達は、混乱をする。


「ちょっと待て! 全く分からない! 一体どうなっているんだ!? 確か、孤児院には、僕ら4人しかいなかったはず! 何故だ」

「説明してくれますね?」

「あぁ、教えてやる。を」


 ダイルは、真実を話した。


 実は、今から300年前、ほぼ壊滅状態でありながらも、何とか勝利するが、子孫を作れなかった。

 彼らは、謀反しなかったメイド達と共に、『生命の泉』の技術を利用し、何か出来ないかと考えた。

 長年の時を経て考えたのが、好機が来るまで、受精卵に置いて、時が来れば成長させ、偽りの遺伝子を組み込み出産するというものだった。


 だが、リスクが高く夫婦が死んでしまうというものだった。

 長年の時を経てようやく、好機を見つけ、出産した後、夫婦は、死んでしまうが、孤児院に入れ込み、自分達は、親が死んで親せきのお願いに孤児院に入れ込むようになったと思い込ませる為にしたというらしい。

 何故、孤児院に入れたのかと言うと、が、孤児院にいるのを情報を聞きつけ、奴が、間違えるようにシュテル達をだと思い込ませるために、あのような事を繰り出させて、四大騎士家の血を継ぐものとして第一段階としてシュテル達4人を復活させたということだ。

 さらに、念の為に、ミヤとエレンと残りの2人を別のところで安全な場所で過ごして貰い、醜い姿で彼女達から隠れさしたそうだ。

 もちろん、ミヤとエレンと残りの2人も、四大騎士家の血を継ぐ正真正銘の財閥プラチナだ。


「つまり、今までの僕達の醜い姿は、奴を本家の自分達をおびき出す為のということか」

「そういうことか」

「つまり、の連中も醜い姿をしていたということか」

「その通りだ、谷村君。ということは、その時が来るまで、待ち構えていたのだろう」

「でも、奴は何でホテルであんな話を話したの?」

「孤児院の件以外を入れたのだろう」

「どういうこと?」


 その時、谷村が鋭い指摘をする。


「あんたと副学園長とだろ?」

「!」

って!? お父様! 彼らは、いつから、作られたのよ?」

「恐らく、『聖女の騎士団』として成立した年からだろう。彼女は、そこで彼らを使いながら、幹部であるサファイア達を集めたり計画を進めていたのだろう」

「そうだったのね。 それに、彼らは自覚あるのかしら?」

「自覚あるのなら、偽りの記憶を入れてないし、私とケビンが存在しないだろう」

「で? 奴らが偽物なら本物は、何処にいるのだ?  それに、僕とマイケルの妹は、何処に? 父上」

「心配するな。特定は、出来ているだから、急がすな。今から、やるべきことと、冤罪の件について話すから」


 ダイルは、シュテル達にやるべきことを話した。

 1つ目は、組長の田中と中華チェーン社長の橋本の真相を解明。

 2つ目は、繋がっている龍神会の直系組長の柴崎の企みを潰し、彼女らの計画を阻止すること。

 3つ目は、シュテルとマイケルの妹。そして、シュテル達の執事達4人を真の姿に戻すことだ。

 なお、妹の件に関しては、シュテルとマイケルが行い、執事の件は、カリーヌ達が行うことにした。


 説明した後、ダイルは、ケビンと共に魔術を発動する。すると、シュテル達の捜索をしていた警察の記憶から、訓練だと書き換えられて、去っていた。

 そしで、エレンとミヤに関しては、シュテル達4人と同様に記憶を書き換えている。


「これで、問題無いはずだ」

「ありがとうな。学園長」

「ありがとうございます」

「それに、川田君との戦闘などで疲れているだろう? 明日は、学校だが上手いこと理由をつけて2日だけの臨時休校にする。エレン君とミヤ君、そして残りの2人の件の手続きなどをするから。休むと良い」

「分かった」

「妹には、シュテル君とマイケル君。執事の件には、カリーヌ達にやって貰うよ」

「はい! お父様!」

「それでは、私とケビンは、帰るとしよう。奴らに見つかったら不味いからね。お休み」

「お休み。父上」


 ダイルとケビンは、挨拶をした後、この部屋を退出した。


「さて、俺らは寝るとするか! ここで、調べものなどをして、体を休めよう」

「そうだな、谷村」

「それでは、カリーヌさん達3人から、お風呂入ってもらいましょう。僕達5人は、出た後入ります」

「ありがとう。マイケル。四大騎士家のお風呂を堪能させてもらうわ」

「サリー! このお風呂は、病みつきになると思うわ! たっぷりと味わってね!」

「期待してるわ」

「それでは、レッツゴー!」


 カリーヌ達女子3人は、お風呂へと向かい、他の5人は、トランプで遊ぶことにした。これから、この『アルティメットアーサーハウス』が彼らの本拠点となる。


 なお、元の住んでるところの件に関しては、この島の北側にあるアルフォード家の経営しているアルフォード銀行グループのアーサー支店の近くにある特別厳重な住居へと引っ越すことになっており、身内の者しか立ち入れないことになり、バレない。

 これから、新しい仲間との新たな旅路が始まる!


 









 

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