第四十話 見せたいもの

「森本!」

「お待ちしていました! シュテル!」

は何だ? まさか、何とは無いとは言わせないぞ?」

「あるに決まっているだろ、シュテル。お前は俺と『聖女の騎士団』のビジネス関係を潰そうとしやがる」

「へぇー、そうかよ」

「それに期待出来ると思うぜ」

「あん?」


 二人は彼が指す舞台袖を見てると巫女服を着ている男性が現れた。


「川田! お前、なんというものを」

「知るかよ! 森本に誘拐されて『これを着ろ』って言われたんだ!」

「森本、てめぇは変態野郎だ」

「グヒヒ! なんとも言え。でも、お金持ちの息子が女物を着てたら、イメージダウンだな」

「どうして、こんなことをする?」

 シュテルの質問に森本は鼻で笑った。

「お前らに復讐するためだ。中途半端の家系に生まれた俺に豚を見るかのように侮辱してきた!」

「違う!」

「あー、もう聞きたくない。悪いけど、を出してもいい?」


 森本は銃で川田の胸元を撃った。

 川田は、自分の胸元を見ると濃いピンク色の液体の入った容器が刺さって注入された。その時、彼の手が震え始める。

 

「何を……入れた?」

「『マリアヴィーナス』だぜ? 進化版のね」

 すると、川田の心臓がドクンと鳴った。


「ウワー! キモチイイ! キモチイイデスワ!」

 瞳をピンク色に光りながら倒れ込み、快感を味わいながら痙攣した。


(これって、ホテルと同じだ!)

「シュテル、見ろ!」

 谷村の指す方向を見ると、川田の手が小さくなっていく。


「フン。では、説明しよう。被験者の体内に入ったこの薬は、体液を媒介して全身に広がり、全細胞に融合して超活性化させる」

「融合だと?」

「そして、全細胞からは二分の一の確率で、かなり異常量のエストロゲン……つまり、女性ホルモンを大量分泌するのだ」

「キモチイイーー!」


 彼の声は透き通ったものに変わり、骨格も丸みを帯びていく。髪も腰まで伸びる。


「そして、快楽を味わいながら、記憶は書き換えられて、染色体をXXに変異して、美しい女性になるのだ。そう、としてね」


 胸と尻が大きく膨らみ、女性の顔に変貌。美女へと化した。


「それは、『ロンギヌス』と同じのか?」

「言っている意味が分からないな」

 

 森本の悪意のある顔に、シュテルは確信した。己の復讐と権力のためなら、なんでもやると。


 そして、川田。いや、彼女は立ち上がり、森本から日本刀を受け取り二人を睨んだ!


「それでは、君。頼むよ?」

「お任せ下さい! 森本様」

「来るぞ!」

「あぁ!」


 彼女は構えをとり、襲いかかる!







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