第二十二話 失われた四大騎士家

 

 エリーとして生まれ変わった彼女を迎え、男とシュテル達は、ソファーに座った。

 男とシュテルは対面するように座り、他の三人は真ん中に座って話を聞くことに。

「では、僕達を選んだ理由を聞かせてもらうよ」

「それは、君たちがその四つの家系の子孫だからだよ」

「し、子孫!? どういう事よ? 確か、アルフォード家は、二百年前に滅びたし、オマケに、マルース家、ルイン家、キャロル家は、存在しないはずよ!」

「そうですよ! カリーヌと僕を変身させたあの二人からそう聞かされたし、貴方もそう言ったじゃないですか!」

「それに、私が変身し終えたあとにを教えたじゃないですか! 何で嘘ついたの!? 信じられない!」

 矛盾した発言に四人は激怒した。シュテルがカリーヌとマイケルを見てみると、自分と同じだったらしい。


「伝えるのを忘れていた。ホントにすまない。」

「は? 意味分からない! 何で嘘ついたの!?」

「それに、何故僕たちがそれぞれの家系の子孫なのですか?」

「実はな……」


 男は、シュテル達にアルフォード家以外の三家系が存在しないことになった理由、そして、彼らが子孫である理由を語りだした。

 まず、三家系が存在しないことになった理由だ。

 話によれば、今から五百年前。世界を裏から操っていた四大家系が繁栄を極めていた。アーサーの騎士の力を受け継いでいる彼らは『四大騎士家よんだいきしけ』と呼ばれていた。

 しかし、三百年前。その力を手に入れるため、仕えていたメイド集団による謀反と策略で『四大騎士家』の牙城が崩壊した。

 その名は、『聖女の騎士団』を呼ばれる犯罪組織だ。 



「『聖女の騎士団』ですか……」

「あぁ。元々は『四大騎士家を守護する騎士団』、若しくは『四大騎士家守護騎士団』と呼ばれる、君達一族を守る裏のボディーガードだ。ちなみに最近、学園都市で事故が発生してないかい?」

「それって、上流階級ゴールドランクのエリア付近であった事故のこと?」

「まさか! 『聖女の騎士団』の仕業ということですか?」

「あぁ、そうだ」

 シュテル達は、衝撃的な事実に言葉を失う。

 

「まさか、そんな……」

「許せない!」

「しかし、どうして彼女たちは謀反を起こしたんだ?」

「それは、四大騎士家の一族が守り抜いていた殿を手に入れたいからだよ」

殿?」

「『生命の泉』だよ、シュテル君」

 『生命の泉』……それは人の寿命、身体能力、身体的特徴など、いとも簡単に作成、改造できる何者かによって作られた神殿。

 当時の『四大騎士家』が、でそれを発見した。神殿の特徴や知識、技術を知り、平和を守る未来の騎士の育成と研究、そして悪用されないように秘密にしたらしい。


 だが、そのメイド集団は内密にされるのに腹を立て、わが物にしようとして謀反を起こしたという。

 部下が殺されていくなか、四大騎士家の夫婦と専属執事だけが生き残った。 

 その後、神殿の技術の研究を百年かけて行い、魔術などを駆使して人々を守る『騎士』が初めて育成された。五十年前になると、夫であるジェイ・アルフォードが代表して、『騎士』学園を設立。『アーサー』という人工島と『騎士庁』も設立するが、延命の術が切れて、彼らは死亡。四大騎士家はで滅び、学園、人工島、騎士庁の権利は他の者に渡ったという。

 


「なるほど、そんなことが、あったのか……因みにだけど、亡くなったのはいつだ?」

「十六年前に亡くなったよ。それに、君達には共通点があると思うが?」

「共通点? とりあえず、生まれたところは孤児院だが?」

「シュテル! それ、私も!」

 それを聞いたシュテルは、残りの二人の顔も見てみると、同じ答えのようだ。


 彼らはとある東京郊外の孤児院で育てられた過去を持ち、職員からは『親が死んで、孤児院側が親戚のお願いにより引き取った』と言われて育てられた。  

 しかし、男によるとそれは嘘で、長い時を経て夫婦らが子を宿すことができ、無事に出産した嬉しさで延命の術が切れて死んだらしい。孤児院が平民ペーパーのような育て方をしたのも、違う名前でつけられたのも、『聖女の騎士団』に対抗する作戦だった。



「なら、最初からアーサーの力を受け継ぐ者としての教育をしなかった?」

「話を聞いてなかったのかね? 聖女の騎士団から守るための作戦だと。それにジェイ様は私に『本当なら妻のお腹の中にいる子供を、愛情を持って育てたい。もし死んだら、プランBを実行してくれ』と。」

「そうか……」

 我が息子を守るためなら、命を懸けてまでやる両親に嬉し涙を出した。

「シュテル、ハンカチ」

「あ、ありがとう。……では、貴方。目的と正体を教えてくれるかい?」

「あぁ、我々は、それぞれの家系の専属執事だ」

「「「「専属執事!?」」」」

「私たちは、仕えていた夫婦と延命の術を使っている。だが、この術の効果はいつ切れるかは分からない……だから、ご子息、ご令嬢である貴方様方の目的は、『聖女の騎士団』の壊滅と四大騎士家よんだいきしけを完全復活することです」

「そうか」

「これは、四大騎士家よんだいきしけの血を継ぐ者の使命なのです。もちろん我々も協力しますのでやってくれますね?」

 急に丁寧になった彼に驚きつつも、承諾の意を伝える。

「ありがとうございます! 頑張って完全復活させましょう! それと、今ままで、タメ口で偉そうに言ってすみませんでした!」

「もう、そんな土下座しなくて良いよ」

「あ、ありがとうございます!」

 シュテルは、彼に優しく微笑んだ。

 すると、エリーが出会いの記念として軽食会を開こうと提案。もちろん賛成し、楽しいひと時を過ごした。




 


 

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