第六話 初めてのデート
シュテルは、カリーヌとの待ち合わせ場所へ向かう。途中、三人の男が立ちはだかった。
「なんだい? 君たちは?」
「お前、創設者の曾孫であるシュテル・アルフォードだな?」
「そうだけど?」
「学園生活の最初の休日から、さっそくお出かけとは、良い身分してるな!」
シュテルから見て左側にいる赤い帽子の男が、剣を持ちながら睨んでいた。
「もしかして、
「そうよ、俺たちは単に普通に暮らして普通のサービスを受けるだけ。何も刺激の無いんだわ」
「そうよ、俺達は単に普通の暮らしをして普通のサービスを受けるだけ。何も刺激の無いんだわ?」
シュテルは彼らの顔を見て何をしそうか予測していた。
「というわけで、体に刺激を与えないと鈍るから、その綺麗な顔を潰させてくれや」
「無理だと言ったら?」
答えを返すと銃を持った真ん中の生徒が自分の額を狙ってきたので、カウンターでダウンさせる。反撃の隙を与えず、左手から水の矢を放ち、その男に浴びせて戦意を喪失させた。
「この野郎!」
右にいた男のパンチを回避して、華麗な蹴り技で吹っ飛ばす!
「どうするんだい? もう二人倒したけど?」
「く、くそ! 死ねえ!!」
赤い帽子の生徒が剣で火属性の魔法を繰り出そうする。後ろから、クロスするかのように風の魔術が飛んできて、赤い帽子の生徒を無力化した。
後ろを振り向くと黒髪に緑色の瞳をした青年の姿があった。
「危ないところでしたね」
「君は?」
「僕ですか? 僕は、マイケル・ルイン。
ルイン家は、主にワイン製造業を中心とした酒業界のお金持ちである。
「ここは、僕達が嫌いな人達がうろうろしてますから、気をつけたほうが良いですよ。それにしても、貴方はシュテル・アルフォードさんですよね? 創設者の曾孫の。こんなところでなにを?」
(彼も僕を知っているのか。やはり、曾孫であることが影響しているのだな)
「実は、カリーヌと待ち合わせがあってね。近道として、ここを通ったほうが良いかなと思って……君のほうは?」
「僕は、近くで争う声が聞こえたので、駆けつけただけです。それにカリーヌってマルース家のご令嬢でしたね」
マイケルの言葉を聞くと、少し照れながら、首を縦に振った。
「良いですね、女性の方とデートなんて。おっと! すみません! 僕は急いで行かなくてはならないので……では」
(マイケルか……とても礼儀正しい人だな)
立ち去る彼の後ろ姿を見た後、カリーヌとの待ち合わせ場所へ向かった。
シュテルは、レジャー施設アクアマリンに着いた。ここは、ショップやレストランなどがある複合施設。
外観と内装は、海をイメージした青で統一しており、人々の心を和ませている。
「シュテルー!」
「カリーヌ、お待たせ」
赤を基調としたワンピースを着たカリーヌが手を振っている。
「君の服のセンスはバッチリだね」
「そんなこと無いよ。君のワンピース姿は、とっても似合うよ」
「ふふふ、ありがとう。さっそく行こう」
「うわ、手を引っ張らないで」
まず、彼女に手を引っ張られながら入ったのは、服屋のカシス。
店内に入ると、さっそく夏の流行を取り入れてお互いアドバイスしあった。服を合わせたり試着したり、二人合わせて六着を購入した。
服を購入した後、次に向かったのは、映画館。
二人は、大ヒット映画『モーニングタウン』を鑑賞することに。シュテルは、カリーヌが自分の肩にもたれているので、寝てしまいそうな時はチョンと指で起こす。
最後に向かったのは、水族館。様々な海洋生物が仲良く泳いでる姿は、人々に癒しを与える。さらに、大人気のイルカショーも堪能。途中でイルカが大きな水しぶきを上げ、二人にかかる。
「うわ! 大丈夫……!?」
彼女を見ると、世の男性が直視するであろう、水によって透けている豊満な胸の谷間が目に入る。
(で、でかい!)
「うん、大丈夫。ん? どうしたの?」
「い、いや、なんでもない!」
シュテルは、顔を赤らめながら上手くごまかした。こうして、幸せで最高のデートが終わった。
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