第五話 財閥としての朝
「さて、まずはシャワーを浴びるか」
この青を基調にした部屋で向かったのは、シャワーだった。
脱衣所で服を脱ぐと洗濯機に入れ、寝汗でギトギトの引き締まった美しい体を洗っていた。
「あー! 最高だな! 前の自分の時は、隙間風ありありの風呂場で風邪ひきそうになったけど、ここは、そんなのは無いし暖かいな!」
シュテルは、昨日の入学式までは入居できなかったため、天国のようなシャワーを浴びた後、青を基調した私服を着て、朝食でトーストを作り、お茶を沸かし入れた後、リビングのテーブルに置いた。
ソファに座ったシュテルは、テレビでニュースを観ることにした。
「ニュースです。三ヶ月前に判明した山村議員の収賄疑惑の問題で、山村議員は辞職することになりました」
「最近の議員さんは何を考えているのやら」
シュテルは、朝食を済ませると部屋を出て、待ち合わせへ向かうことに。
(さて、アクアマリンへ向かうか)
「おい、シュテル」
シュテルは、マンションの玄関ホールから外を出ようとすると、後ろから声を掛けられる。彼は、後ろを振り向くと谷村がいた。どうやら、このマンションに住んでいるらしい。
「今日は、朝早くからお出かけですか? シュテル様」
「アハハ、シュテルで良いよ。これから、カリーヌとデートをするからね」
「へ! そうかよ。ところで、シュテル」
「ん? どうしたんだい?」
「お前、本当に
シュテルは、彼の言葉を聞いて動揺するが、悟られないように平然を装う。
「何を言ってるんだい? 僕は、アルフォード家の次期当主だよ」
「でも、なんか違和感を覚えていてな。入学式のお前の父を見ていると、どうしても、腑に落ちなくてな」
「君が緊張していたから、そう感じたんじゃないか?」
「緊張……ね。俺は、そうとは感じてないけどな?」
シュテルは、彼の威圧するような視線に負けないよう、爽やかな笑顔で対応する。
「まぁ、良いわ。呼び止めて悪かったな」
「いえいえ、どうってことないよ」
「そうか。それじゃ、デート楽しんでくださいな」
その時、シュテルが谷村に背を向け五歩歩くと、彼がシュテルに警告をする。
「そうそう、シュテル。最後に一つ言わせてくれ」
「なんだい?」
「くれぐれも、気をつけな。
「君もね。谷村君」
そう言ったシュテルの両瞳は、青く輝いて光っていた。
谷村も、シュテルと目を合わせ黄色く輝いて光っている両瞳で見ていた。
五秒間、目を合わせた後、光が収まり、シュテルはカリーヌが指定した待ち合わせ場所へ向かう。
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