第48話 『交響曲第1番』 ウォルトン

 こちらは、ウォルトン先生の人気作品であります。


 ただし、初演はまず『第1楽章』から『第3楽章』までで行われたとのこと。


 1934年12月3日のことです。


 全曲の初演は1935年11月6日。


 『第1楽章』は、出だしから、ちょとシベリウス先生の『交響曲第5番』を思わせる音型がありますが、その後も『4つの伝説曲』の『第1曲』をうかがわせるモティーフやファンファーレの使い方、また強弱の付け方があり、さらに『エン・サガ』風な、リズム音型があったりもします。


 ティンパニの使い方にも、シベ先生風なところも感じられます。


 手持ちの資料には特にそうした記述は、どこにも見られないので、やましんの『妄想』かもしれませんが、イギリスでは、シベ先生の人気が高かっただけに、あえて意識的にじゃなくても、多少、影響があった可能性があるかも。


 もっとも最近は、多少似てても『オリジナルです。』と言われることも多いし、お互い様でもあるので、あまり強くは言えません。


 『第2楽章』は、これは、イギリス流の音楽です。


 少しユーモアの感覚も備えたような音楽。(センスの良いユーモアというものは、イギリスではきっと重要。日本の政治家さんや官僚さんなどが、下手に真似すると、いやみに聞こえたりもするようなので、これはやはり、社会全体が共有するような、絶妙な『センス』なんでしょうねぇ。日本の、”わび”とか”さび”という感覚も、そうしたものかも。やましんは、”自己卑下的いやみ”は得意ですが、偉い政治家さんあたりの純粋な”賞賛”は、苦手。音楽家さんや画家さんの賞賛は、抵抗ないんですが。)


 『第3楽章』は、一転、大変、神秘的な音楽になります。


 このあたりは、いささか、ホルスト先生の神秘感にも通ずるような感じであります。


 初演された時期が、ヒットラーさんが総統に就任した直後で、なんとなく怪しい雰囲気が巷に漂っていたのかも。


 映画『国王のスピーチ』で描かれた緊急放送は、1939年のことだとか。


 消えるように、不気味な雰囲気で終わるのです。


 ここまでで終わった初演が、大好評だったと言う事実自体が、いささか不気味でありますなあ。


 しかし『第4楽章』は、冒頭から英雄的な雰囲気が漂う音楽です。


 ブラスと打楽器が雰囲気を盛り上げます。


 このあたりも、いかにもイギリス的と言えば、そんな気もいたします。


 『プロムス』の『ラスト・ナイト』コンサートを聞いていると、こうした感じの音がいっぱい響きますから。(いわゆる『プロムス』は、ロンドンの夏の音楽祭です。『プロムナード・コンサート』のこと。その最終夜が『ラスト・ナイト』。もっとも、やましんは、テレビで見るか録音で聞くだけです。ウイーン・フィルの『ニューイヤー・コンサート』同様、チケトの入手はかなり困難らしいです。前半にはクラシックのちょと大きめの曲が入る事もありますが、後半は必ず演奏されるお決まりの曲・・・《アーンさまの『ルール・ブリタニア』パリ―さまの『ジェルサレム』エルガーさまの『威風堂々第1番』ウッドさま『英国海の歌による幻想曲』『英国国歌』等》を含めて、おおいに国威発揚を感じさせる伝統の大騒ぎとなります。)・・・


 なお、指揮者様がスピーチをするのも伝統で、むかし、BBCから、スピーチだけを集めたCDもあったような・・・


 最後は、やはり、シベリウス先生の『第5交響曲』を思い出させる終結で、目出度く幕となります。


 冒頭と終結がどちらもそうなので、やっぱウォルトン先生、意識的に参照した可能性があるんじゃないかなあと・・・・・


 なお、『うきうき』でも良かったのですが、全体から考えて、『そとうつ』といたしました。



  ********* そと 🎆🎆🎆 うつ *********  

  





 



 

 


 

 



 


 






 

 

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る