第35話 『ソング オブ スペース』 ピンゴウド

 パングーさんともピングーさんとも読まれたりもするようですが・・・


 エルネスト・ピンゴウドさま(1887~1942)はペテルブルク生まれですが、1918年の革命を避けて、フィンランドに移民したかた。


 フィンランドに、最初のモダニズムを持ち込んだ方ですが、フィンランドに生活しながらも、民族的な題材にもとずく作品は全く作曲しなかった方で、時代的に、まだ一般から受け入れられる状況ではなかった感じです。


 1942年に、自ら命を絶ったのだそうですが、そこについての詳しい状況はやましんは知りません。


 20世紀も終わり近くになって、ようやく再評価が始まったという状況のようです。


 でも、やましんの聞いているCD(ONDINE ODE 875-2)に含まれているこの曲、カッコいいし、ある種の神秘感もあり、実によい音楽です。


 最後のところなんて、びっくりするくらいに新鮮かつ魅惑的。


 たぶん、ぼくたち世代の感覚からしたら、けっして前衛的な作品ではなく、むしろロマンティックな趣さえ感じるのですが、作曲されたのが1931年(現行版はどうやら1938年)となると、まだシベ先生が元気でご健在であり、なかなかその巨大な壁を破れないでいる時期ですから、人気が出なかったのもむりもないのかもしれないです。


 ご本人の死後、その作品はほとんど忘れ去られていたようです。


 まあでも、よい作品は、いつか日の目を見ることもあるわけで、ピンゴウド様も、ついにその時期がやってきているということなのでありましょう。

 

 管弦楽曲が、作品の主体ということですが、1921年の『プロフェット』あたりには、スクリャービン様や、リヒャルト・シュトラウス様あたりの響きも感じます。


 聴かないままにするには、あまりに、もったいない作曲家さんです。


 








 






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る