第29話 『交響曲第1番』 シマノフスキ 

 お盆とは言え、うっとおしい夜です。お医者様と、自殺はしないお約束していますけども、想像することは、禁止じゃないですよね。


 こういう、寝られない夜には、あまりはっきりした社会的名曲から、いささか距離をおいた名曲がいいですね。


 この交響曲なんかも、とても、格好いいです。


 有名なメロディーが出てくるわけではないのですし、楽章はふたつで、ちょっと不安定なかんじもするけれど、不思議にイイ。(初演は1909年3月26日)


 シマノフスキ先生(1882~1937)初期の作品で、スクリャービンさまやワグナーさまあたりの影響も大きい感じで、ちょっとオーバーアクションな感じもありますが、『しろと』、からしたら、そこが面白いのです。


 ご本人様は、後日この曲を自己批判してたようですが。


 交響曲は、4曲あります。


 2曲あるヴァイオリン協奏曲は、なかなか有名ですけど、あまり一般的に良く知られる看板曲がないので、玄人すじ以外からの人気がいまひとつかな。


 でも、ショパンさま以後の、ポーランドの英雄の、おひとりです。


 1917年の秋、シマノフスキさまのお家は、ポリシェビキ派の攻撃を受け、破壊や略奪をうけたとのことです。(シマノフスキさまは、ティモシュフカという街の御出身で、もとポーランド領、当時はロシア領、現在はウクライナ領とのこと。)


 これは大きな打撃になって、その後ワルシャワに移住。しばし、作曲活動は止まってしまったようです。


 シベ先生も、赤軍の攻撃を受け、避難を余儀なくされたことを想起します。


 しかし、移住、ポーランド独立後は、音楽上の保守派と積極的に対抗し、作品も生み出すなど、精力的に活動した様です。


 激動の時代だったといえば、そうなのでしょうし、シマノフスキさまは、大富豪の息子さんだったので、そこらあたりが絡んでたのかもしれないですが、こうした事態は、思えば残念なことです。


 

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