第27話 『ピアノ五重奏曲』 大澤壽人

 1933年にアメリカで完成した作品とのこと。


 このような、ハイ・センスな作品を、当時の日本人が書いていたというのは、びっくりです。


 微妙な4分音も使いつつ、ペンタトニック風日本的な素材や、ちょっとジャズっぽいような要素などを、ただ繋げるんじゃなくて、見事に自分の音楽の中で調理してしまっていて、とってもレヴェルの高い国際的音楽な感じ。


 比べる対象をうまく見付けられませんが、他で取り上げた山田耕筰さまのドイツ生まれの『交響曲かちどきと平和』(1912)から比べたら、この20年がいかに大きな違いを生んでいるかという感じがしますし、一方で、信時潔さまの「交声曲『海道東征』」(1940)からしたら、まったくの別世界。


 そこで、帰国後は戦時下ではあまり活躍の場がなく、戦後は放送や映画音楽でこんどはひっぱりだことなり、本格的な作品の創作に戻れないまま、1953年に亡くなってしまったとの事。(1907~1953)


 ようやく復活してきたのは、21世紀になってから。


 交響曲が3曲ありますし、ピアノ協奏曲3曲、コントラバス協奏曲もあり。


 最近は、交響曲や、ピアノ協奏曲、コントラバス協奏曲などのCDも出ております。


 幻の作曲家が、最近やっと現実の世界に現れたと言う感じ。


 なお、この曲は、マイハート弦楽四重奏団と藤井由美さまのCDが出ております。



 

 

 


 






 



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