第26話 『交響曲第7番』 ショスタコーヴィチ

 時がたつのは早すぎるものですが、その昔、例の、あるコマーシャルによる『チーチンプイプイ』で有名になった音楽であります。


 これは、いささか忘却の彼方にあったこの作品を、この国に復活させたという意義があったかもしれないけれど、そうだとしても、復活したのはその部分だけだったのかもしれません。(初演は1942年3月5日)


 ラヴェルさまの『ボレロ』の二番煎じに過ぎないという批判も、バルトーク先生あたりから出ていたようですが、どちらもなかなか本音を見せないお方なので、表向きだけで考えてはいけないように思います。


 確かに、あからさまと言えるくらいに、壮大な誇大妄想音楽にも聞こえるし、第5番の延長線上にある様にも聞こえるし、ヒトラーに対する非難でもあり、同時に自分の国の独裁者を皮肉ったようにも感じるし、どこかで聞いたような音楽を、もじってる感じがする場所もあるし、けれども、さらにどこか、ぐっと別次元にも向いていて、東洋的に深く、思索的な感じもするし、すっごく美しいところもあるし、やっぱり、一筋縄では行かない、いかにもショスタコさまらしい、解釈しにくい音楽。

 

 おまけに70分以上はかかる、長~~い音楽。


 それらも考慮の上、あの、でっかい『やかん』や、コマーシャルが作られたんだとしたら、もう感動的。






 

 

 




 


 

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