第13話 『ヴァイオリン協奏曲』 ベルワルド

 フランツ・ベルワルドさま(1796~1868)は、音楽的な家系のご出身でしたし、早くから成功してもよさそうなものを、なにが災いしたのか、なかなか母国(スウェーデン)の音楽界から『音楽家』として認めてもらえず、そのおかげと言うのかどうか、実業界では割と成功した方です。


 その音楽からは、『作曲家』というよりも、『発明家』という雰囲気が強く感じられ、確かに人々が求める、安定した音楽とはいささか異質な「モノ」だったかもしれません。


 現在では、4曲の交響曲を中心にして、高く評価されるようになってきています。


 まあ、本人としては、生きてるうちに、こうなって欲しかったものだと、思いますけれどもね。


 それは、前にも同じこと書きましたが、デンマークのルーズ・ランゴーさまも似たような状況にあったようですが。


 こうしたケースは、実際、沢山あるのでしょうね。


 頑張ってるのに、なぜか認めてもらえない、というのは、人間にとっては、かなりのストレスになるものです。


 たとえば、まあ、経験談ではありますが、自分が夜中まで連日連夜残業して必死で頑張ってる横で、毎晩パソコンでゲームして遊んでいた人が、(能力は認めざるを得ないけど、そんないやがらせらしきを、すぐ横で毎晩するのがすっごく嫌でしたよね。遊ぶならよそでやるか、もしくは、さっさと帰ってくれ! と言いたかったです。言わなかったけど・・・。)ドンドンと昇進して、やがて上司で来るなんてのは、気分がとっても良くなかったです。まあ、こちらも、職場不信にもなります。(あああ、これは思い出話しで、遥か昔に済んだこと・・・やましんは仕事ができなくて役立たずだったので、仕方ないですよね。)


 ベルワルドさんは、しかし実際に優秀だっただけに、こうした無理解な世間には、相当ご不満だったようですが、それでも亡くなる直前になって、国から勲章などもらえたりしたらしいので、それは、まあよかったなあ、と思います。


 しかし、この『ヴァイオリン協奏曲』は、現在もまだ、世の中から高く評価されているとまでは言えないようです。


 まず、まだ初期の作品でもあり、結構イタリアで作られたヴァイオリン協奏曲のスタイルから、影響があるような感じもするけれど、非常にストイックで、つまり、ベルワルドさんとしても(?)、大変に「じみ」なのです。大きな音も、そう出さないし。


 ヴァイオリニストにしてみても、オケや指揮者にしてみても、あまり自分をアピールする余地がないのです。


 これが最大の原因でしょう。


 でも、やましんは申しますが、大変魅力のある音楽です。


 特に第3楽章は非常に魅惑的であります。


 やましんは捨てても、こいつを捨ててしまうのは、あまりに惜しいです。


 どなたか、すごく有名な方が演奏や録音をしたら、多少は話が変わるかも・・・


 ちょっと、望み薄ですが。


 なにしろ、宣伝が難しい。


 『派手さがまったくなく地味で質素な協奏曲! ついに登場!』


 じゃあ、売れないよな。


 やはり、ベルワルド先生、音楽家としては、世渡りがいくらか下手だったのか。


 ただ、実業家としては、新しい健康器具を開発したりして、かなり成功したんだから、そうも言えない気もいたします。


 でも、この方は天才。


 ついでに、ピアノ協奏曲も、いいです!


 これからはベルワルドさんの時代が来る!   (かも)



* ドイツのトロフォンから出ていた、レオン・シュピーラー様がソロ担当のCDがとても良いのですが、今でも出てるのかどうかは存じません。イタリアのボンジョバンニから発売されていた、マルコ・ログリアーノ様(お名前の読み方が違うかもしれません・・・)ソロのCDは、曲にも優る地味な演奏ですが、これはこれで結構なものかと思います。やましんは、この2枚しか知りません。


 

 

 








 




 

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