第4話 『チェロ協奏曲第1番』 ビュータン

 ビュータンさま(1820~1881)と言えば、まずは、7曲あるヴァイオリン協奏曲です。

 なにせ、ご本人が名人でしたから。


 しかし、このチェロ協奏曲、これがまた、良い音楽なのです。


 とにかく、冒頭部分が素晴らしい。もう、ぐうっ!と来るのです。


 管弦楽の、ぐるぐると唸りをあげる怒涛のような序奏のあと、さっそうと登場する独奏チェロの、なあんと素晴らしく、かっこいいことでしょうか!


 しかも、けっこう魅力的な主題です。


 ヴァイオリンにはない、低くて、お腹にずしんと来る低弦のうた声!


 奥深さを感じさせる、木管の美しい響きとも共鳴してみたり、高音部の、きっと難しいであろうテクニックを披露してくれてみたり、いや、なかなか聴かせます。


 あまり普段はお目にかからない作品ですが、もったいないことです。

 

 ビュータン様は、これまた晩年はご病気により世間からは隔絶状態となり(脳出血だったようですが)、さいごは、ある酔っ払いの投げた石が頭に当たって、そのせいで絶命に至ったとか。


 一世を風靡した音楽家たちの末路というものは、実際には様々なもので、簡単に特定化したりはもちろんできませんが、なんとなく孤独の中で、さびしく亡くなってしまうケースも少なくないようです。


 まあ、人生の最後というものは、そうしたものになりがちなのは、今もそうは、変わらないのかもしれないですが。


 

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