黄の章

あのままでは、作戦が上手く遂行しない。

別の手を打たなければ。


そう言えばパークに、私と同じ“き”の付くフレンズがいた。


「先生は、ここのエリアで聞き込みしてください。

私はゆきやまの方面で聞き込みしてきます」


「あ、ああ」


先生は肯いてくれた。


慣れない雪山を登り、辿り着いたのは温泉宿だった。


「あら、アミメキリン?どうしたの?」


出迎えたのはギンギツネだった。


「キタキツネに用があって・・・」


「・・・?」


不思議そうに首を傾げた。





私はゲームをしているキタキツネのタイミングを見て声を掛けた。


「ねぇ、キタキツネ」


「あれ・・・、どうしたのアミメキリン。キミもあの事件を調べてるの?」


「え?」


「かばん達が来てねー、あの時はなにしてたーとか、聞いて来たんだよ」


疲れたような言い方をした。


「いや、そうじゃないんだけど・・・」


「じゃあ何?」


「ちょっと、とある“ゲーム”に参加してほしくてね」


「ゲーム・・・?」










僕とサーバルは図書館で寝ていた。


僕としては、アミメキリンが怪しいとにらんだが、

当の本人が拒否し、タイリクオオカミが真犯人を見つけると言った。

正直言って、僕は推理をこれ以上発展させることが難しい気がした。

次を考えている内に僕は眠りに落ちた。




「スーッ、スーッ...。んっ...」


(誰・・・?かばんちゃんはまだ寝てる?)


「ゴメンね、サーバル。ゲームの為なんだ」


(ゲーム・・・?アレ、なんか急に眠気が・・・)







「ちょっと・・・、起きてよサーバル」


「あれ・・・、ここは?」


私は目を覚ました。


横にいたのはキタキツネだった。



「どうしたのこんな所で?」


「閉じ込められた・・・」


「え?」


小屋の様な所、狭い空間に二人で閉じ込められていた。

私は扉を叩くが、開く気配はない。


「あれ・・・、なんで・・・」


体を扉に合わせ密着させる。


刹那、身体に異変が走った。


「えっ...」


腹部に何か刺さってる。

唐突の出来事で何が何だかわからない。


不意に口元を手で拭う。


手の甲に、赤い色が付いた。


「かば...ん...」


「サ、サーバル!?」


キタキツネが心配そうな声を上げた。



ドンと、扉を入って来たのは、アミメキリンだった。


彼女は左手で、木製の扉の木と木の隙間に綺麗に入れ込んだ

鋸を慎重に抜いた。


「えっ・・・、な、そんな・・・」


動揺するキタキツネに対し、サーバルの血がべったり付いた

鋸を向ける。


「ちょっ、ちょっと!!」


腰を抜かしたキタキツネは地に尻を付き、後ずさりする。


「か、関係ないでしょ!!し、死にたくないよ・・・」


「あなたは“き”が二つもあるから、泥を被ってもらうのにちょうどいいんですよ」


「や、やめて!!」











僕は不穏な気がして、目覚めた。

横にいたはずの・・・・、サーバルが消えている。


そこでハッとした。


「まさかっ・・・!」


図書館の下の方では一昨日から不規則な生活を行う様になっていた、

タイリクオオカミが寝ている筈だ。


僕はその場所へ向かった。


(あれ・・・、アミメキリンも寝てる・・・)


タイリクオオカミの側で寄り添うようにアミメキリンが寝ていた。

とにかく僕は、二人を起こした。


「タイリクさん!キリンさん!」


「ん・・・?」


「はい・・・?」


何故かキリンはあっさりと目覚めた。


「お二方、サーバルちゃんを見てませんか!?」


「サーバル?」


半目を開きそう、復唱するタイリクオオカミ。


「さぁ・・・」


欠伸と同時に言葉を発するキリン。


「どうかしたのかい・・・?」


「いないんです!」


「えっ?」


「探してください!」


「わ、わかった」


「て、手伝います!」


僕とタイリクオオカミとアミメキリンは図書館を飛び出し、

サーバルの捜索へ向かった。

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