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「俺よりも祥子さんの方が珍しいんじゃ。こんな時間にどうしたんですか?」

 出勤ラッシュと商店街の開店の時間の間、静けさがどこか寂しげな時間だ。仕事終わり、にしてはいささか遅い気もするが。

「あぁ、実はこう見えて今帰りなのよ」

「え、こんな時間までお仕事されていたんですか?」

「ふふ、まさか」

 まさか?

「早朝にジムに通っているのよ」

「ジムッ!?」

 嘘、こんなマダムが!? 俺だってジムなんて通っていないのにっ。

「知らない? 今出勤前にジムに通うのが流行っているんですって」

 そんな流行知らない。今どきの社会人どんだけアクティブなの。その後仕事するの辛くない?

「早朝だと、少しだけお安かったり、意外と人が少なくて落ち着いて出来たりするのよ」

「祥子さん凄いですね・・・」

 さすが年齢不詳の美女。

「そんなことないわよ、全然。仕事が遅くまであるのに、ついつい早起きになっちゃうのよね。歳かしら」

「え」

 歳かしらって、祥子さん一体いくつなの!?

「年寄りになって来たって事かしら、嫌だわ」

 嫌だわ、とか言いつつもその肌のハリだろ。俺の年齢判別能力が狂うわ。

「でもいつまでも若くいるために、やっぱり運動はしておかなくちゃね」

「そんなことしなくても、祥子さんはお綺麗ですよ」

「ふふふ、いつまでもそう言ってもらえるように頑張らなくっちゃ」

 綺麗の秘訣は思うに、そう言う姿勢なのだろうか。俺の母親に聞かせてやりたい、なんて殴られるか。

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