女子の人間関係

ミシェル

第1話 さとみ

 わたしは、これからオシャレをして、化粧もしたい。

 でも、さとみに、許してもらえなさそうだ。

 さとみは、自分の容姿に、並々ならない自信を持っている。

 彼女は、小柄で細く、色白で、二重まぶたの女友達だ。


 さとみは、自分より奇麗な女が、嫌いである。私が、

「○○化粧品のCMにでている、モデルさん超奇麗だなぁ・・・あの人より奇麗な人この世にいるのかなぁ」と、さとみの前で、独り言を言ってみる。


 すると次の日、さとみは

「〇〇化粧品のモデル、見てみたけど、あの人たいした奇麗じゃないね。すぐ消えるね」とか言ってくる。だいたいのモデルや女優を、批判的な目で、見ている。


 さとみは、基本、心に壁があるのだが、話しやすい私には、何でも話してくれた。

 

 彼女がよく言う独り言がある。

 「もしも自分より可愛い子が、クラスにいたら許せない。全然いなくて良かった!」

 さとみと私は同じクラスだ。わざとなのか天然なのか、分からないが、ただただ不快で腹が立つ。


 腹が立つと言えば、日焼け止め。

 以前、学校の行事で、遠足に行った。

私は日焼け止めを忘れてしまった。横で、さとみが日焼け止めクリームを、顔に塗っていたので

「塗りおわったら貸して?」と私が言うと、「え~嫌だよ。〇〇は黒い方が可愛いよ」と言われた。

 

 なるほど。私が、顔黒たまごちゃんになることで、さとみの肌の白さが、際立つわけか。さとみが寝ている間に、日焼けマシーンに、閉じ込めてしまいたいと思った。


 あと、さとみは、ハーフモデルに並々ならぬ嫉妬心をかかえていた。

勿論、日本のモデルさんも超かわいい。だが、ハーフモデルは、また違った良さがある。可愛くて、奇麗で、信じられないくらい瞳が大きく、輝いている。


 さとみも、小柄で色白でアイドルフェイスだ。色白なのは、日に焼けないよう、めちゃくちゃ頑張っているからだ。だけど、彼女は純日本人なので、どんなに頑張っても、ハーフモデルに近づくことが出来なかった。


 そこで、さとみに追い打ちをかけてみる。

 「さとみ知ってる?VAVA(雑誌名)に載ってるトルンドル玲奈ちゃんっ、すごく奇麗で可愛いんだよ。」

 

 後日、さとみの家に遊びに行った際、本棚にVAVAを見かけた。お、やっぱチェックしたかぁと思いった。雑誌を開くとひらひらと、紙の切れ端が落ちてきた。

 

 トルンドル玲奈ちゃんの顔が、ぐさぐさと、鋭利なもので切り刻まれてあった。

 わたしは予想以上の、さとみの嫉妬心が怖くなり、雑誌をもとの場所に静かにもどした。

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