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「真理亜は昔からこんな感じだったんですか?」

「ふふ、そうですね、あんまり変わらないような気がします」

 真理亜が手洗いに立った時に彼が訊いた。

口達者でイタズラ好きで、お嬢様なところとか。この間店に来た時も、二十年来の再会だったのに正体を隠して気付けなかった俺を笑ってバカにするようなやつだ。

 昔からそういう所は変わってない。

「あと、教会の中でも一番おてんばで」

「ふふふ、やっぱり昔からそうだったんですね」

「今でも変わりませんか?」

「いい歳なんですけれど、恥ずかしながら」

 と言いつつもどこか嬉しげに話すじゃないか。そうか、真理亜にはこういう大人な人がピッタリだったんだな。

「なによ、私がいない間に二人で悪口言ってるの?」

「言ってないよ」

「嘘。おばさんだって言ってた」

 地獄耳かよ。

「真理亜ちゃん、素敵な旦那さん捕まえたね」

 きっと真理亜が真理亜でいられるような、そんな空気を持っている人なんだろうから。

「え? 何言ってるの?」

「え」

 真理亜が真顔で答える。

「この人が私みたいな素敵な奥さんを捕まえられたんでしょ。選んだんじゃなくて、選ばれたの」

「お」

 それを聞いた旦那さんはと言えば、照れた顔を隠すように頭を下げた。

「そっか」

「そうよ」

 それから真理亜はニッと微笑む。

 あぁ、きっとこの二人はずっと仲良くいられるんだろうな、なんて漠然だけどはっきりと思った。

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