あやかししらべ【星祭編】 / 草詩様 

 先日、コーヒー豆を購入しにお店に行きました。

 店頭にアイスコーヒー用の豆が並んでいました。

 世楽は『早いだろww』とその時、ほくそ笑みました。

 いまこのとき、私はそのことを後悔しています。

 春、暑過ぎ。

 


 あやかししらべ【星祭編】 / 草詩様

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054883803347



○●○●○●



 青春×あやかし!


 不思議な存在や異能。

 それらと関わる若者。


 好きです。

 

 学生時代の無邪気にエンタメに浸っていた時分を思い出させてくれるテイスト。

 回顧主義や昔は良かった、じゃありませんが、

 手放しに気楽に楽しめる作風というのもまた大事なのではないでしょうか。


 

○●○●○●



 オカルトという題材をキチンと扱いつつキレイにポップにまとまった作品という印象です。

 独断と偏見ですが Base Ball Bear の楽曲を聴いたときと似た感触を覚えました。

 ポップで軽快だけど、いい意味で耳に障る尖りがある。


 並木島高等学校の月波町異聞蒐集部こと『しゅーしゅー部』の面々による活動のお話です。

 出だしの3話くらいまではごく普通な高校生のように見えますが、この面々は何かしらの異能を有しております。 

 ですがいわゆる厨ニテイストのような全能感はありません。事態に対して調査分析を行い準備をした上で解決を目指していきます。

 彼らが相対するあやかし(作中では括りが明言されていないため便宜上、あやかしとします)も単なる和風のクリーチャーではなく、ある種の生態を有した存在として描かれております。


 密教パワァ全開! 不動明王パンチ!!

 バシュッ! ゴォォぉっ……!! 浄化ッ!!

 とはいきません。


 冗談はさておき、調査や準備といったある種地味で説明的になりがちな展開で物語は進行するわけですがスラスラと話は進みます。あくまで軽快かつポップです。

 おそらく作者様には何らかの下地、風土記とか民俗学的な方面の知見があるのでしょう。

 あやかしの生態や驚異を言葉少なめながら要所を抑えつつ読者に示してくれています。多くを描写しないが納得させる、あえて書かないことに作者様の力量を感じました。

 

 ただ正直に言いますと、メインキャストがある種のプロフェッショナルで且つ物語の進行がスムーズなためやや淡白な印象が物語後半まで続いてしまいました。

 主人公の境遇等から彼は彼なりの信念を持っているということは理解できるのですが、のめり込み共感するまでの熱量には至らなかったのです。


 しかし、後半あるキャラクターの言動でその印象は変わりました。

 アホだけど、愚かではない。

 生身の匂いのある感情が吹き込まれたように感じました。

 キレイにピースが揃っていくように物語の終わりが完成したなと感心しました。


 完結済みなのが少し残念に思ってしまう良い終わりでした。



○●○●○●



 調査や生態解明、そこから繋がる対策と準備。

 地味な内容を過不足なくスムーズに描くには、

 知識という下地と読み物にするための取捨選択の両方が必要になります。

 短い文字数、話数でこれらを展開する腕前はお見事です。


 何事も力一辺倒ではいけないのです。

 仕事、恋愛、人間関係。

 我が我がと押すことばかりの人生なんて、軽薄で粗野だとは思いませんか?


 さぁ! このレビュー企画も終わりが見えてきました!

 いきましょうっ!



 次回!


 ぼくらはみんな生きづらい(仮)~preiude~ / 遠藤孝祐様



 密教パワァ全開! 不動明王パンチ!!

(世楽は何も学ばない)

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