#18 CANARY
「あーっ、みたことあるおじさん!
は、もういいか」
「この場所で会うってことは、約束、守ってくれてるってことだよね。
そう、あの女。サカイっていうんだ。ごめんね、私、あんまり字が読めないから。
形は……たぶん、カードキーだと思う。あれが手に入れば、研究エリアの奥にいける。
前はあんなこと言っちゃったけど。
きっと、貴方にとっても、すごく危険な行為なはず。やるかやらないかはそっちが決めてほしい。本当に、ごめん。無責任だよね、こんなの」
「うん。出来れば、助けたいと思う。私の、大切な友達だったから。友達。ううん、私はMarieが大好きだった。愛してた。
Marieは何度も命を救ってくれた。何度も励ましてくれた。一方で、私は何も恩返しできてない。
あいつらに捕まえられて、もしかしたらひどい実験をされているかもしれない。だから助けたい。
わかってる。自覚してる。私達が実験動物だっていうのは。実験動物なら、実験をされるのは当然。でも、こうして私達が自我を持ってるのって、きっと、何か理由がある。
彼女に会えばそれが分かるかもしれない。なんでか、そう思うの。
確証もない、ただの勘。動物の勘」
「――唄? ……って、何?
知らないならいい。って。ヘンなの」
「本当に、ごめんね。って、謝ってばっかだね、私」
「周りのカナリアはみんな、任期を終えて、街に行きたいって言ってる。ちょっと違うけど、みんな同じような性格なんだよ、カナリアって。
でも私は何でかそうは思わない。いつの間にかここで生まれていて、ここしか知らなくて、それでヒトのたくさんいる街に行って――そこから先が全然想像出来ないんだ。
変わってるって、よく言われる。……Marieもそういう娘だった。
だから、Marieの分も含めて、私達がここにいる意味を、その理由を、知りたい」
「待ってるからね」
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