#15 整備部所属 イチタロウ・オノ
「あのバケモンどもに銃弾が効く、っつーのは幸いなんだがよ。
それも、いつ“効かなくなるかもしれない”ってのは、考えたくもないことだな。
次はなんだ、銀の銃弾でもこさえるか? ……冗談だよ」
「こいつがお嬢ちゃん達の正式装備一式だ。全部背負えばそれなりの重さにゃなるが、片道切符を渡すわけにもいかねえだろ。行って帰れるくらいの弾薬と、メンテナンスキットくらいは入れてある。もっとも、あのお嬢ちゃん達にゃ詳しく説明してもわからねえ。キットが使われたことも数えるくらいしかねえ。
まあ、瘴気に当てられた装備はどちらにしろダメになるからな。量産の、コスト削減って理由もあるにはあって、ライフルもなるべく無駄を省いて組んである。とはいえ武器は武器だ。当たらなくちゃ意味がねえ。反動の強い7.62mmとはいえ、撃って当たるように調整はしてある。整備部の意地だよ。
――まったく、このトシになって、まさか孫みてえな見た目のガキどもに武器を渡すなんて思ってもいなかったぜ。
まるで紛争地帯の少年兵みてえなナリで、見てるこっちが滅入るくらいだ」
「ああ? そう、ここいらのが戦闘車両だよ。と言ってもあそこは瓦礫だらけというし、まともなクルマなんて橋を渡ることくらいにしか使えねえ。
一番出番があるのはそこのケッテンクラートだな。頭が悪くても、アレなら運転できる」
「……エピオルニス……ねえ。
あの“二本脚”な、俺達が作ったものじゃねえんだ。アレに関しては俺達も簡易的な整備くらいしか任せられてねえ。配備もチューニングも、別のところから専門の連中が来て、全部やっちまう。
俺――いや、整備部から言わせりゃ、あんな効率の悪い兵器もねえや。稼働時間は短いし、装甲だって盾になるまではねえ。おまけに乗員の生存性は二の次ときてる。なんだってあんなモン作ったんだか。
そういや……外から来た連中、回収されたデータとパイロットをやたら丹念に調べていてな。やってるこたぁ人体実験そのものだ。人体……と呼ぶと研究部の奴らが怪訝な顔をするが。
だが、なあ」
「はあ? エピオルニスMk.Ⅱぅ? なんだそりゃ。
ちょっと待て。詳しく聞かせろ。知らねえぞ。そんなもんは。誰から聞いた?
……チクるものかよ。お喋りなカナリアがいたってくらいにしか言わねえさ。
頼む。アイツらは、これ以上お嬢ちゃん達に何をさせようとしてる?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます