第119話「もし、ネメシスが勝ってたら、明日の決勝、交代もあったんじゃね?」

 シリアルキラーとネメシスの戦いは、数多くのゲーム系だけでなく、様々なジャンルのニュースサイトのトップ記事となり、瞬く間に全世界のゲームファンの注目を集め、各地で話題となっていた。


 とある掲示板サイトでも、ある少年が立てたスレッドが盛り上がっていた。


『もし、ネメシスが勝ってたら、明日の決勝、交代もあったんじゃね?』


001:

確かに! スレ主の言う通り、反対してるルイスは、もう居ないしな!


002:

別に、ルイスは反対なんてしてないだろーが! ネメシスが、それほどでもなかったってことさ!


003:

なに言ってんだよ、2!

5連敗してんだぜ、怖かっただけだろ?


004:

>3

はぁ? 笑わせんな!


005:

おいおい、お前ら、その辺にしとけ。

今は、シリアルキラーとネメシスの話だろ?


006:

なかなか見応えあったよなー!

でもよ、スレ主の言うように、ネメシスが勝ってたら、決勝の交代、ありえたかも知れんよな。


007:

いや、それは無いな。


008:

>7

どうしてだよ!


009:

対戦クジだよ、チケットを売った後だからな。

賭けてるヤツが、納得しないだろ?


010:

あぁ、確かに……

でもさ、記念程度の掛け金なら、構わないんじゃねーの?


011:

中には、そーでもない掛け金のヤツも居るだろ?


012:

そんなの返金すりゃ、いいんじゃね?


013:

いやいや、そうなるとルイスに賭けたヤツまで返せって言い出すさ。


014:

それは、ド厚かましいってモンだろ?


015:

このゲームにプレイヤーが、何人居るか忘れたのか?

間違いなく、一定数は居るよ!


016:

そんな手間かけるくらいなら、そのままってことか……


017:

まぁ、そんなとこだね。


018:

でもよ、それはシリアルキラーが負けたらの話だろ?

履歴見たけどさ、最後、ネメシス押されてたぜ。


019:

なに言ってんだよ、18!

ネメシスには、必殺の無影剣があるじゃねーか!


020:

あぁ、あれかー、あれは確かにヤベーな。


021:

でもよー、ホントにあれって、見えないのかね?


022:

不思議だよな。

でも、喰らったヤツの話じゃ、みんな見えないって言ってるからな


023:

そうだな。

じゃなきゃ、あのルイスが、5回も喰らうとは思えん。


024:

そうなると、やっぱ、最強はネメシスだな。


025:

待てよ、サーベルタイガーは?


026:

確かに、強いのは認める。

ルイスにも勝ったしな……だが、戦闘回数が余りにも少ない。


027:

野球で言うところの規定打席か?


028:

そうだ、あのたった一回で、最強と言うには早計じゃないか?


029:

非公開時代に、無敗だったって聞くぜ?


030:

>29

その時代は、プレイヤーが2000人程度だったんだろ?

今とじゃ、数が違い過ぎるよ。


031:

でもよ、その頃にも、ルイスやラグナも居たんだよな?


032:

サーベルタイガーのお得意様(得意相手)だっただけかもしれん。

今まで苦手な相手が、たまたま現れなかった……


033:

つまり、ネメシスに会ってないだけだと?


034:

そうだ。


035:

きっと、次はネメシスやラグナを混ぜたエキシビジョンにするだろから、

明日の決勝で勝った方が、とりあえず、仮の最強ってことで、いいんじゃね?


036:

そうだな。


037:

だな。


038:

おいおいおい、お前ら、さっきから聞いてりゃ素人かよ!

最強はヨハンだろーが! わかってねーな!


039:

は? なに言ってんだ38?

あんなチキン野郎を入れてんじゃねーよwww


040:

そうだよ。

それに、折角、ネメシスが最強になろうとしてたのに、ヨハンが空気読まねーから……


041:

お前ら、いぢめてやるなよ。

数少ない、ヨハン派なんだからさw


 そのコメントに、ヨハン派の女性は、キーボードを激しく叩く。


「なんだと、テメーら! ヨハンの強さを解らないなんて、モグリ中のモグリだな!っと、これで良し!」


「なにが良いんだ? フレデリカ?」


 ヨハンに肩を掴まれ、慌ててモニタを指差しながら、自分の正当性を主張する。


「よ、ヨハン……だって、みんなが、ヨハンのことを悪く言うから……」


「気にするなって、いつも言ってるだろ?」


「でも……」


「でもじゃない。俺の良さは、お前だけが解ってりゃいいんだよ」


 そう言って、フレデリカの頭を撫でると、キッチンへと向かい、コーヒーをれ始めた。


「あ、ヨハン! そういうことは私がやるから、ヨハンは座ってて!」


 慌てて椅子から立ち上がるのだが、書き込みの投稿ボタンは、しっかりと押すフレデリカだった。


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