微妙なポジション

ギア

微妙なポジション

 大学の旧部室棟は3階建てだ。1階には管理人室以外にも売店やテレビの置かれたホールなどがある。ホールには丸テーブルが6つほど置かれていて売店で買ったものが飲み食いできるようになっている。昼休みはここと新部室棟の1階のカフェテリアが人気だ。

 だが数少ない部室棟の部屋を確保することに成功した各サークルに属するメンバーたちは、混雑する共有のホールではなく部室にいることも多い。卒業生が寄贈したり、もしくは引っ越す際に面倒だから置いて行ったりした家具や家電が常備されているからだ。


 オーケストラ部のバイオリン弾きの3年生である源田げんだ大悟だいご針雨はりう祐美ゆみがホールではなく部室で昼飯を食べていた理由の1つも、冷蔵庫やら電子レンジやらの常備されている便利さゆえだ。特に7月という時期には自由に使える冷蔵庫がありがたい。

 もっともこの2人がここにいた理由はそれだけではなかった。

「源田大悟、そろそろ話せ。呼び出したのはお前だぞ」

 コンビニのサンドイッチだけという簡素な昼飯をとっとと胃袋に放り込み終えた祐美は、ロングスカートについたパンくずを払いながら、黙ったままの大悟に声をかけた。

 その言葉に、しかし大悟は難しい顔で黙ったままだった。フルネームで呼ばれたことに気分を害したわけではない。3年の付き合いで、祐美のその癖はよく分かっていた。言葉が出なかったのは、考えがまとまっていないせいだった。

 祐美はその様子を冷たく見つめたあと、立ち上がると壁際のエアコンの操作盤にその細長い指を伸ばした。

 ノースリーブのカットシャツに薄手のカーディガンという服装は外の気温にはちょうど良かったが、室内のあまりに低い設定気温には力不足だったからだ。

 彼女は自分が特に寒がりだという自覚はあったのであまり設定を変えないようにしていたが、この大悟の様子にしばらくこの部屋に留まる必要性を感じて、信条を曲げることにした。

 もっとも祐美はすでに相談の内容について、おおよその検討はついていた。


 この春から3年生になった大悟と祐美はそれぞれバイオリングループのリーダーを任されることになった。

 ファーストバイオリンのトップに大悟、セカンドバイオリンのトップに祐美が任命された。学年とバイオリンの腕から鑑みるに、実に妥当な人選だな、というのが祐美の認識だった。

 オーケストラのバイオリンという集団は大きく2つのグループ(パート)に分かれる。主旋律を任され、より客席に近い位置を陣取るファーストバイオリンは多くの場合、より高い技量を要求される。対して、メロディを下支えする役割が強いセカンドバイオリンは、より他に合わせる能力を要求される。

 大悟の腕は周辺の大学含めても傑出していたし、むしろなぜこんな素人丸出しの大学オケで弾いているのか不思議になるレベルだった。ファーストバイオリンのトップは、多くの場合そのままオーケストラのトップであるコンサートマスターも兼任することになる。3年生男子のバイオリン奏者が数人しかいない中では至極当然の選択肢だった。

 対して、先輩方がセカンドバイオリンのトップに祐美を任命したのは「ファーストが男子だからバランスをとる意味で女子」「3年生女子のバイオリンの中で一番上手いメンバーからセカンドのトップ」といったところだろう、と本人は考えていた。

 別にうぬぼれているわけではない。祐美以外の女子は大学に入ってからバイオリンを始めたメンバーばかりで、彼女らに教えたのがそもそも祐美なのだ。その人間関係を考えれば、誰が選んでも結果は変わらなかっただろう。

 そういった経緯もあり、祐美は人に教える下地が多少は出来ていた。得意だと自負するほどではないが、少なくともいきなり全く知らない仕事をいきなり任されたという不安はなかった。

 だからこそ逆に、ずっと1人で練習してきた大悟は色々とそれまでになかった苦労と不安を抱えているのではないか。別の部屋でセカンドのパート練習をみながらも、祐美の心の片隅にはその想いがあったし、バイオリンの女子からの悩み相談にはパートの垣根なく応じることにしていた。

 ファーストバイオリンの女子の中には去年まで祐美が教えていたメンバーもいたし、彼女らからすれば相談しやすさではやはり祐美だったろう。そしてつい先日受けた相談の内容から、大悟が苦境に陥っていることは分かっていた。

 それを解決できるのは本人だけだが、手助けは出来るかもしれない。ただ可能な限りファーストのパートメンバーと裏で話していることは知られずに済ませておきたい。パートリーダーとしてあまり楽しい状況ではないだろうから。

 そんなことを祐美が考えていた中で、大悟の側から「話がある」と連絡があったのは渡りに船だった。


 しかし呼び出しておいて沈黙を続ける大悟に、そろそろ祐美も苛立ちを隠せなくなりつつあった。

「4時限目があるから昼休みが終わる前には出る。言いたいことがあるならそれまでに言え」

 祐美は一方的に言い放つと、時間を有効活用するため、バイオリンケースを開けてバイオリン本体を取り出した。ただ弓はケースの中のままだ。

 部室棟で楽器を鳴らしてよいのは地下の個別音楽室のみと決まっており、部室で音を出して練習するのは固く禁じられている。守らなければ部室没収すらあり得る。

 祐美はバイオリンを構えると右手は宙に遊ばせながら左手の指先で指板を叩き始めた。静かな部室に、指が弦を離れたときに生じる微かな響きが満ちる。

「だよな」

 それを見ていた大悟が頷きながらいきなり口を開いた。

「何がだ」

 祐美が手を止めた。

 大悟は開いた足のひざに肘をつきながら、立っている祐美を見上げる。

「今回の曲って、ファーストポジションやサードポジションよりセカンドポジションのほうが弾きやすいよな」

「そうだな。全部が全部そうではないが、言いたいことは分からんでもないぞ」


 弦楽器の常として、弦は太く長いほど音が低くなる。複数の弦を持つ楽器はその全ての太さが違うし、指で押さえることで弦の長さを短くすることで音を高くする。

 バイオリンの場合、4本の弦があり一番太い4本目の弦がソの音、次の3本目の弦がレ、2本目がラ、一番細い1本目がミの音を出す。そこへ指を置くごとに1つ音階が上がる。4本目のソの音の弦の場合、指を置くごとにラ(人差し指)、シ(中指)、ド(薬指)、レ(小指)と上がっていく。つまりバイオリンは小指を置いたときの音が次の弦の音と同じとなる。

 この指の置き方がバイオリンの基本であり、ファーストポジションと呼称される。

 ファーストポジションの場合、一番低いラシドレは4本目の弦で中指から順に置いていくだけで弾ける。次の弦に移る必要もなく、同じ指を何度も使う必要もない楽な指運びとなる。

 しかしこれがシドレミの場合、途中で別の弦に移る必要があり難易度が上がる。リズムが早いとこの指の忙しさの影響は上がり、音の正確性にも影響していく。指が正しい位置から5ミリもズレれば、素人でも分かるほどに音程が外れるからだ。

 そこで弦の移動を可能な限り減らすために覚えるのがポジション移動だ。余談だが、弦を移動することを移弦いげんと呼ぶ。

 それまで中指を置いていた位置に人差し指を置き、一段階ズラすのをセカンドポジション、さらにズラすとサードポジションと名称が変わっていく。

 初心者はまずファーストポジションから練習を始め、ある程度慣れて来た段階でサードポジションを練習し始める。基本的にはファーストポジションとサードポジションを覚えればほとんどの曲をある程度は弾けるため、バイオリンを趣味で弾いている個人などはその2つのポジション以上を練習しないことも多い。


「お前も知っているだろうが、私は中学からオーケストラをやっている」

 学生オケだが、という言葉を祐美は飲み込んだ。卑下しているつもりはないが、より高いレベルの経歴を持つ相手がそうとることを知っていたからだ。

「実は今回の『アルルの女』が初めて乗った曲でな。お前も知っているだろうが、これは正直セカンドポジションのほうが引きやすい。そのせいで私はサードポジションより先にセカンドポジションを覚えた」

 少数派だろうがな、と付け加えた祐美の言葉に、そうか、と大悟が呟いた。

「どうした。もしかしてそれが今日の相談ごとと関係あるのか。まさか源田大悟ともあろうものが私にセカンドポジションを習いたいなどと言い出すんじゃないだろうな。むしろお前が後輩に教える側だろう」

 そこで祐美はちらりと気づかれないように部室の玄関を振り返った。ちゃんと聞いてくれているといいんだが、と思いながら。

 大悟はその様子に気づかずただ首を振った。

「いや、そうじゃない。ああ、でも確かにセカンドポジションは関係あるっちゃある。実はな」

 きっかけをつかんで話しやすくなったのか、大悟はようやく事の次第を語り始めた。しかしそのきっかけが用意されたものだと大悟が気づくのは、全てが解決したあとのことだった。


 事の発端は1週間半前の土曜日だった。授業がない週末は本館の空き教室を使ってオーケストラ部が練習をするのが常となっている。

 もちろん学生課に許可を取ってのことだ。他の教室でも同様に違うサークルが申請して活動に励んでいる。音を出すサークル同士を離したり、複数の部屋を用いる大きいサークル活動を同じ階にまとめたりするのは学生課の仕事だ。

 オーケストラ部はパートごとに部屋を用いるため、2階の教室のほぼ半数を割り当てられていた。その階の隅に位置する小教室でファーストバイオリンのパート練習が行われていた。

 1時間の練習のあと10分の中休みに入ったところで、大悟は少し躊躇したあと、休み時間にも関わらず険しい顔でメインの曲を1人でさらっている2年生の京田きょうだ陽子ようこに近づいた。

 大悟は前から陽子の指運びが気になっていた。大学に入ってから始めたとは思えないほどの上達ぶりを見せている彼女だったが、やはり初心者ということもあり、ファーストポジションだけで弾いている。

 そのせいで移弦が多くなり弓が忙しく跳ね、音が安定しない。それでもバイオリン歴を考えれば十分過ぎるほどに上手いが、大悟は彼女が高い向上心を持っていることを知っていた。

 折よく、相手はちょうどファーストでは指使いが面倒になる区間を練習していた。

 よし、と腹を決める。壁にマスキングテープで貼り付けた楽譜を見ながら練習している陽子に声をかけた。

「京田? あのさ、セカンドポジションを覚えないか。そこだけでもいい。随分と楽になるはずだ」

 単刀直入過ぎるかもしれない。しかし遠回しに言うのもまた相手の気分を害するかもしれない。リーダーとして言うべきは言うしかない。色々と考えた挙句に出たその言葉に、陽子が弾かれたように振り向いた。

 話しかけてきたのが大悟と気づくと硬い表情がほんの少し和らいだ。夏に入ったこともあり、窓を開けていてもやはり暑いのか、その頬は赤く上気している。

「なんですか。何か手伝えますか」

「いや、違う。そうじゃなくて、ちょうどそこ」

 と、大悟は陽子がファーストポジションだけで弾いていた楽譜の区間を指さしながら言葉を続ける。

つらそうだから、ファーストからセカンドに移そうか、という話をしようと思った」

 あらためて告げた大悟の言葉に、陽子の瞳が不安げに揺れた。

「なんでですか」

 返ってきた言葉は予想外に強い口調だったが同時に少し震えていた。言わなければ良かったか、と大悟は後悔したが、今から無かったことには出来ないだろうと話を続けることにした。

「今見てて、ファーストだと難しいかと思ったからだ。音も安定していない。セカンドの方が楽だと思う」

 無表情のまま陽子が小さく首を振った。

「そんなことはないです。弾けます」

「まったく出来ていないわけじゃないんだ。ただ指が回っていない箇所もある」

「練習します。ファーストで大丈夫です」

 少し表現をやわらげたつもりだったが、陽子の態度は頑なになる一方だった。

 周りで練習していた部員たちの視線が、少しずつ2人に集まってくる。心配そうな様子の部員もいれば、大悟をにらみつけている者もいた。なぜか面白そうな顔をしている部員もいる。

 大悟はどうしたらいいのか分からなくなった。

 祐美であればこういうときどう伝えるべきなのかを知っているのだろうか。今のこの状況を収めないことにはリーダーとして皆がついて来ないのではないか。いや、それより何よりまずは京田にきちんと説明しなくては。

 言葉に詰まってしまった大悟を見ていた陽子が力なく微笑んだ。

「分かりました」

 震えるその声に呼応するように涙を浮かべた瞳が揺れる。相手のこの様子に、なぜこれほどまでにファーストポジションにこだわるのかと混乱する大悟は、次の言葉に耳を疑った。

「先輩は私と弾くのが嫌なんですね」

「……え?」

「そうならそうとはっきり言ってください」

 涙を隠そうともせず、手の甲で頬を拭いながらバイオリンを片付ける。取り乱しながらもこれ以上ないほどに丁寧な陽子の楽器の取り扱いに、大悟はこんな状況にも関わらず感心してしまった。

 呆気にとられたまま、声をかけられずにいる大悟の目の前で片づけを終えた陽子は楽器ケースを肩に担ぐと出口へと向かった。部屋から出る直前、陽子は足を止めた。

「セカンドに移ったら、私がオーケストラを続ける理由は無くなります。だから止めます。今まで本当にありがとうございました」

 足音が廊下を遠ざかって行くのが聞こえたが、大悟は動けなかった。たとえ追いついたとしても、かけるべき言葉が分からなかったからだ。


「というわけだ」

 恥を忍んであらいざらいぶちまけた大悟は、肌寒い室内にも関わらず汗だくだったが、同時にすっきりした様子だった。

「なるほど」

 話を聞きながら楽器を片付けていた祐美は頷いた。なるほど、そういう会話だったのか、と苦笑する。

「京田はとても熱心で、1年目からどんどん俺に色々聞いてきてくれてた」

「そうだな。本当に熱心にお前に聞きに行っていたな」

 少し含みを持たせた祐美の言葉に気づくことなく、大悟は話を続けた。

「飲み会のときとかも俺の隣に来て、練習場所をどう確保しているかとかそういう話をしていた」

「そうだな。おそらくだがお前以外もその様子はよく覚えているぞ」

「だから俺も本当に上手くなってもらうため、もっとバイオリンを好きになってもらうために、言うべきは言おうと思ったんだ」

「バイオリンよりも好きなものがあったんだろうな」

 祐美の言葉に、怪訝な顔を向ける。

「源田大悟、お前、本当に気づいてないのか」

「何をだ。京田を傷つけたことは分かっている」

 黙って見ているつもりだった祐美だが、この朴念仁には言わねば伝わらないだろうと諦めた。壁の時計を見やる。4時間目まであと10分。教室までの移動時間を考えると5分。

「足らんな。しょうがない。この埋め合わせはいつかしてもらうぞ」

「何がだ」

 祐美は椅子を引くと腰を下ろして長い脚を組んだ。カーディガンに袖を通した腕を組むと、右手の人差し指を立てた。

「1つ目の質問だ」

 困惑したままの大悟に構うことなく問う。

「京田陽子は私と一緒にパート練習をしたことがない。なぜだ?」

「当たり前だろう」

「もう少し具体的に答えろ」

「いや、祐美と京田はパートが違うからな。祐美はセカンドバイオリンだろ」

「京田陽子は?」

「ファーストバイオリンだ」

 祐美はセカンドバイオリンのトップであり、京田はファーストバイオリンとして次の演奏に乗ることになっている。パートが違うのだから、パート練習で顔を合わせるはずがない。一緒に練習するとすればバイオリンの合同練習か全体練習のときだろう。

「その通り。では2つ目の質問だ」

 まだ続くのか、と顔をしかめる大悟を無視して先を続ける。

「なぜ京田陽子はファーストなのか」

「それは、本人がそう希望したからだ」

「パートリーダーが決まったあとでな」

 全体ミーティングで、次回の曲目および次期パートリーダーが報告されたあと、どの曲のどのパートに乗るかの希望を聞くことになった。

 陽子は断固としてファーストバイオリンとして乗ると言って譲らなかった。難易度が高いこともあり、念のためセカンドバイオリンも薦めてみたがその意志は変わらなかった。最後に決断したのは大悟だった。だからこそ言うべきは言わねばならない、と考えていた。

「リーダーは関係ないだろう」

 首をかしげる大悟の様子に祐美は我慢の限界とばかりに腰を浮かし、相手に食ってかかった。

「源田大悟、さすがにそろそろ気づけ! 京田陽子は……」

 まるでその言葉がスイッチだったかのように部室のドアが勢いよく開く。

針雨はりう先輩! ストップ! ストーップ!」

 そこには顔を真っ赤にしながら必死さに目を見開いた陽子の姿があった。驚きに言葉を失う大悟とは対照的に、落ち着き払った様子の祐美は苦笑交じりに声をかけた。

「そうか。あとは任せていいか」

 呆れた調子でそう問う祐美の言葉にガクガクとぎごちない仕草で陽子が頷く。しかしそのまま立ち去ろうとした祐美の腕をカーディガンの上から強く掴むと、ブンブンと首を振る。

 仕方なしに腰を下ろした祐美だったが、とっとと済ませろと言わんばかりに手で陽子を促した。

 まずは深呼吸して気を落ち着けると彼女は大悟に大きく頭を下げた。

「すいません!」

 何を謝られているのかまだ理解できていない源田の顔をまっすぐ見られず、足元に視線をうろうろさせながら陽子は必死に言葉を紡ぐ。

「いえ、あの、だって源田先輩が、いきなりみんなの前で、私の技量じゃファーストバイオリンじゃ無理そうだからセカンドバイオリンに移れ、って言われたのかと思って、練習するから大丈夫です、って言っても聞いてくれないしで、私、てっきり嫌われたのかと思って」

 まだ話を続けようとする陽子を大悟が慌てて手で制した。

「え? 俺、そんなこと言ったか? ファーストバイオリンが無理だからセカンドバイオリンに行け?」

「自分がどのような言葉をかけたのか、よく思い出してみることだな」

 手持ち無沙汰で自分の爪にやすりをかけていた祐美は2人のほうを見ようともせずに呟く。

 大悟はあらためて自分がかけた言葉を反芻した。

「えーと、俺が後ろから声をかけたんだよな……確か、ちょうど今弾いてるそこが辛そうだから、ファーストからセカンドに移らないか……あっ」

 自分で口に出してようやく理解した大悟を見て、祐美は「さすがにもう付き合ってられん。あとは若い2人で好きにしろ」と腰を上げた。陽子が慌ててそっちにも頭を下げる。

「すいません、私の、その勘違いで針雨先輩にも本当に迷惑をかけてしまって」

「まったくだ」

 祐美は不機嫌そうな顔を作ろうとして、こらえきれずに吹きだしてしまった。

「ふふ。まあいい。この借りは本番の演奏で返してもらうぞ。それまでにせいぜい2人で練習することだな。ファーストのセカンドを」

 滅多に見られない祐美の笑顔に2人が驚いているうちに、祐美は部屋を出た。スマホで時間を確認する。ちょっと遅れはしたが、まだ間に合うだろう。あの2人と同じか。

 そう思いながら、授業へと向かった。

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