第4話 逃走
道の真ん中に倒れていた吐瀉物まみれ美女を家までおぶって帰ってきた。
酔いを覚ます薬を買いに、また靴を履き家を出た。
物音をたてようと、ベッドに下ろすときも、女は気にすることなく寝息をたてつづけた。
コンビニで適当にそれらしいものを買い、再び家のドアをあけた。
所要時間10分足らず、ベッドに寝かせていたはずの女がいなかった。
「どこいったんだ」
そのつぶやきに呼応するかのようにシャワールームから水の音が聞こえた。
まさか、そう思いシャワールームに近づく、誰かがシャワーを浴びている。
僕は彼女がどう考えたら、見知らぬ人の家で目覚め、シャワーを勝手に浴びるにいたったか恐ろしくさえあった。
しょうがないから、リビングに戻って女が出てくるのを待つことにした。
やがて、水の音がやみ、ドライヤーを使う音が聞こえ始めた。
それから10分後、音がやみすべてが済んだと思い、声をかけに行くと、玄関のドアがあいた。
女はどこにもいなかった。
開いた口が塞がらないどころの騒ぎではなかった。
追いかけようと靴を履き玄関に置いてある家の鍵を取ろうとした瞬間、異変に気がついた。
「鍵がない」
コンビニから家に帰ってきて確実にここに置いたはずの鍵がない。
「やられた」
女は新手の空き巣なのかもしれない。
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