第4話 肥満会談開始

「……貴様ら、いい加減にしろ。今日は喧嘩をしに来たのではないのだろう」

 今まで、無言を貫いていた魔法剣士リッツが口を開く。

「おい、ライム。さっさと、今日俺たちを呼び出した理由と説明しろ」

 クールな口調のリッツ。――だが、彼も他のメンバー同様太っている。かつて、裏切りの美剣士ともてはやされた面影は、ない。

全くない。

――見る影もない。


 そんなリッツを見て、内心ライムはほくそ笑んだ。裏切者(最終的には味方になったが)のくせに、ハンサムというだけで、周囲からもてはやされていた。最初から頑張ってきたライムや、トールよりも、人気(特に女性陣)は高く、魔王討伐後の宴も、やたらと彼の周りがにぎわっていた。

――魔王を倒した充足感が、彼への嫉妬で欠けるのを感じていた。


 回想終了。

今のリッツは、昔とは違う。

ライムと同じ……否、元がハンサムな分、太ったときの残念さがライム以上。

過去の憎しみ(憎しみと言うほどでもないが)が少し融解した気がした。

「おい、何を呆けている。俺の顔に何かついているのか?」

 ライムの視線に気づくリッツ。しかし、彼の心情までは読み取れていないようで、怪訝そうな顔つきである。

「いや、脂肪はたっぷりついているけど――って、そんなことじゃないな。説明だな、説明」

 ぽっちゃりジョークをはさみつつ、ライムは本題を口にする。


「――いい感じのダイエット方法を教えて欲しいって話だったんだけど……」


「「「馬鹿かお前はっ! そんなこと知ってたら、太ってない!」」」

 見事な否定のハーモニーが返ってきた。苦笑いで「ですよね」とライムも返した。

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