第15話 VS始祖ラドラ
「クク…ククク…クハハハハハッ!面白いッ!面白いぞ貴様ッ!」
突然モラハラは顔を上げて笑い出した。
充血した白目は真っ赤に染まり、顔中の血管が浮き出している。
「ム…ッ!」
変態は先程までとは明らかに違うモラハラの姿に目を見張った。
「変態よ!ワシは一族の始祖、ラドラである!ワシは一族全ての者と繋がっておるのだ!貴様は面白い!我が一族の発展の為に死ぬがよい!」
そう言うとラドラと名乗ったモラハラの身体は巨大な真っ黒い影のような悪魔へと変化を遂げた。
「クハハハハハッ!引かぬ!媚びぬ!省みぬ!帝王たるワシの攻撃を食らうが良い!」
「…悪し!」
雑魚い、雑魚過ぎる。
変態は変態であるが美学があった。
ペラペラペラペラ喋る輩はそもそもあまり好きでないのだ。
『弱い犬ほどよく吠える』は当たっていると変態は体感していた。
事実、このラドラと言う者は実体の無い影となり、自分は傷付くこと無く攻撃を仕掛けようとしている。
おそらく本体はいずこかに在り、遠隔操作でモラハラを操っているのであろう。
モラハラとは違う、雑魚い思考。
先程とは違う人を見下した言葉。
見下すのはいい。それもある意味変態にはご褒美なのだから。
しかし、何か違う…!
信念や愛有る意識とは違う、そう『選民意識』…!
同族さえもただの道具へと変化させるその根性が気に入らない!
変態は空気イスをしたまま、細く息を吸い始めた。
「ス~~~~~~~~~…」
みるみるうちに、ラドラと名乗った影は変態の胸に吸い込まれていく。
「な…!なんだその力は…!」
セリフかッ!
変態は心の中でツッコミを入れる。
基本、戦いの最中に言葉はいらない。
必要なのは、吐息と熱い魂だけだ。
「ス~~~~~~~~~…」
「ぐ…この…我が一族の身体を吸い込むとは…」
なんだか脆い!
変態は何となく息を吐いてみた。
「はぁ~~~~~…」
すると何だか鼻から黒い影が現れてきた。
ササッとそれを鼻の下に変態が押し付けると、なぜか立派なカイゼル髭となった。
「モラハラ…」
モラハラは髭となり、変態と一体となった。
モラハラ髭がヒクヒク動くと、ラドラと影がみるみるうちに髭に吸い込まれていく。
「モラハラ…!貴様!一族を裏切るのか!」
ヒクヒクヒク。
カイゼル髭となったモラハラが嬉しそうに動く。
その髭のヒクヒクが、なんだか変態も嬉しくなってきた。
「グヌヌヌ…!ワシの力を侮るなよ…!先程のソーラーレイを最大出力で見舞ってやるわ!」
ダサい!
思ったならすぐやればいいのになぜ宣言する!
変態はなんだか面倒臭くなってきて、先程ソーラーレイが打たれた辺りに光の力を解放した。
ピュウイン!
カッ!
変態から迸る光は一直線に上へ伸び、ラドラ一族の人工衛星を瞬く間に破壊した。
ドチャドチャドチャ
途端、ラドラから解放しれたモラハラの身体はワカメのように黒く千切れて床へ散らばった。
変態はなんとなくそのワカメを集めてコネコネすると、何だかミニチュアのモラハラになった。
ベリ!
ムリ!
変態はカイゼル髭を剥がし、ワカメモラハラ人形の鼻下に押し付ける。
ポワポワポワポワモワ~~ン
ワカメモラハラはその途端、みるみるうちに大きくなり、元のモラハラに戻った。
「変態殿」
「うむ」
「私は主君を失いました」
「うむ」
「よって私の主になってくださいませんか?」
「いらぬ!」
「ならば…変態殿の髭となり、傍にいさせてはくださりませぬか?
「…」
変態はモラハラをじっと見詰めた。
モラハラも変態をじっと見詰める。
モラハラの身体がまたも変化を始める。それは立派なカイゼル髭となり、変態の鼻下へ向かいフワフワと近付いてきた。
シュパン!
変態はそれを平手打ちすると、モラハラ髭はスパン!と床に落ちた。
「直腸ォッ!」
変態はそう叫ぶと、モリモリとピンク色の直腸がパンツから競り上がってくる。
バチン!
直腸をモラハラ髭に叩き付ける。すると直腸の先にモラハラ髭がしっかりとくっついていた。
「うむ」
変態は直腸で味を楽しむ。
超高性能機械である一族の八重歯を収納したモラハラ髭は、一瞬で自らの役割を理解した。
これからは変態の直腸と共に生きるのだ。
生きる為に必要な“食欲”を私は変態殿に任されたのだ。
ならば、ならば変態殿に、この世の贅を尽くさせてやろう。この科学の粋を集めた八重歯を用いて…
そうやって変態の直腸にはカイゼル髭がついた。
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現在の変態。
・スライムの毒を塗りたくり、全身まだらの紫色。
・髪はまだらハゲの金髪アフロ。
・腸内には竜の一族、光の杖、恐怖の魔人と毒アフロスライム。
・直腸の先にはモラハラ髭←NEW!
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