第10話 VS白銀の騎士

 白銀の騎士はこの温度の中を全身甲冑で身を包んでいる。


 最初に「おーい!君ー!」等と声を発していたので「え?」しか話せないという事は無いだろう。


 変態はおもむろに白銀の騎士に向けて後ろに屈むとパンツを下ろして肛門からコーラを吹き出した。


 プシャアアアアアー


 「え?」


 なるほど変態的強者だ…


 反応が「え?」しかない。


 いきなり殴り掛かってもいいが、そこは変態。まずは攻撃ご褒美を貰いたい。


 シタタンシタタンシタタン


 変態はコーラを出すのを止めて、変態的ステップを繰り広げてみた。


「え?」


 これは心が折れそうになる。


 次第に産まれて初めての恐怖と不安が変態を襲う。


 曖昧な否定。


 これを強者に繰り返されるとどんな人でも不安になる。


 例えば営業成績の良い社員が社長に質問をされ、ドヤ顔で答えた後に「え?」を繰り返される。

 学校で得意な科目で黒板に呼び出され、ドヤ顔で答えを書いた後に「え?」を繰り返される。


 この精神攻撃スピリチュアルアタックは天狗の鼻を容赦なくへし折る。


 そこで変態は気付いた。


 これこそがコヤツからの攻撃ご褒美なのだ!


「…面白い!」

「え?」


 サク。


 そういうと白銀の騎士は手にした長剣で変態の胸を一突きに貫いた。


「カハッ!」

「え?」


 ボタボタボタボタ…


 変態の口から血が吐き出される。


 ヤバイ系だ。


 言動と行動の不一致タイプ。


 おおむねこのタイプの者は社会生活に馴染みづらい。しかし戦闘においては絶大な威力を発する。


 行動が読めないのだ。


 サクサクサク


 まるで肉に下ごしらえを施すかのように長剣で変態を穴だらけにする。


「ぐふ…!変態的…ではないッ!」


 そう、これは猟奇的なだけだ。


し!」

「え?」


 変態は一旦は白銀の騎士を受け入れた。しかしやはり相容れないものはあるのだ。


 異世界の住人。


 変態にも自らの価値観はある。しかし、ある程度懐の許容範囲は広い。 


 力の比べ合いではなく、一方的な凌辱。その線引きは変態の判断基準によるが、変態はこの白銀の騎士を相容れない者と判断した。


「え?」


---


 気が付くと変態は玉虫色の亜空間にいた。


 そこから遠くに見える現実世界で、白銀の騎士はサクサクと変態を長剣で刺し続けている。


 変態は手を伸ばしてみるが、現実世界の変態には届かない。


 これは…“幻覚系”だ。


 通常、幻覚系の技は変態には効かない。幻覚物質の吸入により、脳が誤作動して幻覚は引き起こるが、変態の身体にはあらゆる幻覚物質に耐性があるからだ。


 だとすれば、これは催眠術系となる。


 いつからだ…?


 最初にアヤツが声を掛けてきた時か…


 ならばまだ現実世界で我はあの巨人を支えているに違いない。


 ならば…これはチャンス…!!


 カッ!


 変態が大きく目を開くと、大小様々な変態が現れた。


 思い思いに様々な変態的ステップを披露している。


 その内徐々に変態達のダンスがリンクしてきた…


 武富士だッ!


 レオタード姿の大小様々な変態が武富士ダンスを踊る!


Let's go!

Won't you take my hand

For I will be your man

So tonight we gonna dance the night away

One and one is two

Don't you be so cruel

Synchronize this love is what we've got to do

All the time we'll be together

'cause it's yours and mine

Forever we're in this love thing.


 ジャジャジャン!


 あなたの夢が動き出す

 ¥ショップ 武富士


 変態的、そして感動的だ。


「長年の夢がこんなところで叶うとはな…」


 変態の胸は熱くなった。


「さて…ムゥンッ!」


---


 変態が気合いを入れて起きると白銀の騎士は壊れたロボットのように変態を刺し続けていたが、その刃は変態を貫くには至っていなかった。


 薄皮一枚を傷付けるに留まっており、白銀の騎士は狂ったように連打し続けている。


 チクチクチクチク


 変態はいまだ巨人を支えて催眠術に掛かっているフリを決め込む。


 チクチクが乳首をかすると気持ちいいのだ。


 「…んふッ!…ほふッ♥」


 徐々に頬が桜色に染まる変態。


 白銀の騎士は変態が目を覚ましたことに気が付いた。


 そして乳首を執拗に突き刺し続けた。


 チクチクチクチクチクチク


「…ゥブブブブブブ♥ぬるあああああーッ!!」


 変態は我慢できずに大声をあげた。


「え?」


 白銀の騎士はそう言うとキン!と長剣を鞘へ戻し入れ、そして足早に立ち去ろうとした。


「おい」


 変態が声を掛けると白銀の騎士は振り向いた。


「え?」

「これをやろう」


 そう言うと変態は巨人をヒョイと白銀の騎士へ投げた。


「え?」


 ブチン、ジュー。


 白銀の騎士は巨人に潰され、そして焼かれた。


 その後、変態は直腸で巨人の栄養を取り込み、シオシオになった巨人を正座をしながら綺麗に折り畳むと、それをコネコネとコネだした。


 そしてソフトボール大までの大きさに丸めると、「フンッ!」と天井に投げ付ける。


 それは太陽のように地下ダンジョンを明るく照らし出す。


 人工太陽の作成。


 変態は遂に地下ダンジョンへ太陽を造り出した。

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