第7話 おれの死
「ひ、で、ぶ、うー」
おれは呻いて後ろにぶっ倒れた。
「人体に480くらいある、
「あがっ」
おれは呻いた。呼吸ができない。目の前がたちまちブラックアウトしていく。おれのハートのビートが聞こえない。心拍が止まっている……。
意識が失われてゆく。このままでは……。
そのとき、闇の中で声が響いた。
「立って! お願い立って!」ジラフちゃんの声だった。「あたしたちいつも、みんなの応援する声に力をもらってるの。だから、今度は、あたしがあんたを応援する。あたしがあんたに力をあげる。お願い受け取って。あたしの、精一杯の応援を。お願い! 立って! マモルンジャー!」
………………。
…………。
……とくん。
……とくん、とくん、とくん。
ドクン、ドクン、ドクン。
ドクッ! ドクッ! ドクッ!
「ごふっ」おれはマスクの中で吐血した。口の中に鉄の味が広がる。胸が痛い。脈を打つたび、肋に痛みが走る。だが……。
痛みは、生きている証。脈打つ鈍痛は、心臓が動き出したからだ。
びくっと震えて、おれは身を起こした。
「な、なにっ?」魔導拳士グリムワードが驚愕の呻きをもらす。「そんなバカな。おまえは確実に死んだはず。おまえの心臓は、いま完全に停止していたはずだ。起き上がれるはずがない」
「どうやら、おまえは、なにも分かっていないみたいだな」フラつく脚で立ち上がりながら、おれはゆらゆら揺れる視界のなかで、グリムワードをびしりと指さす。「おれたちスーパー戦隊はな──」
「いや、おまえ一人だし」
「──みんなの応援を受けると、たとえ死ぬようなダメージを受けていたとしても──」
「いや、死んでたし」
「──必ず立ち上がって、悪を倒すものなのさ! Gロッソに行ったことねえのか、コノヤロオ!」
「ふざけやがって」グリムワードは吐き捨てるように言う。「ならば、その都度、何度でも殺してやるまでだ。くらえ、ガンカタ最終奥義、
凄まじい速度で撃ちだされた拳打が、音速のスタッカートでもって、機関銃弾のように襲いかかる。
が、おれは、躱し、外し、いなし、流し、受け、弾き、ボケをかまし、裏拳、掌打、手刀、頭突き、4の字固めで、そのすべてを防ぐ。連打につぐ連打をすべて受けきり、グリムワードが最後に放った渾身の正拳突きを、おれは手のひらで、ぱしりと受け止めていた。
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