ゆめのほしぞら

あの子は誰だろう。

知っている。初めての出会いではない。

なのに、何故、思い出せないのか。

透明な箱に閉じ込められているようだ。


私は本当に、あの子に会ったことがあるのだろうか。


"作られた記憶"ではないか。


私は不安になる。


何故。


何故。


何故。


この世界は、おかしい。


けど、私にはわからない。


君には、わかる?



そう尋ねてみるけれど、君は何もしゃべらない。

そうだよね。そんなしゃべるわけ。


"サーバルちゃん"


しゃべった・・・?


聞いたことがある。


もっとはっきりと。聞かせてほしい。


君の声を。





君の声を・・・。



私のことを、知っているのに、

私もあなたのことを知っているのに、

どうして言葉にできないの。




ねえ、誰か教えて。


あの子は誰なの?




あの子を知っているのに、私は知らない。


私は知っているのに、あの子を知らない。




矛盾だらけの私は・・・。


この世界で要らないのかもしれない。






・・・なにこれ?


私の腕から白い糸が、ずっと空まで繋がっている。



上を見上げた。





・・・・そこで笑っているのは誰?


私をあの子の所へ行かせて...。


この糸を...。


この糸を...。


この糸を...。




誰か外して...






私の涙が地面に落ちた。


地面から、植物が生えた。


緑の草原が、広がって。




君は向こうで笑い続けている。


懐かしい、匂い。




君がいる。


名前を知っている。


私は、名前を...。


両手を広げて、待っている。




待っていて。


私は思いっきり、前へ飛び出した。


糸が私を縛り付ける。



私は、自由になるんだ。


真実を知るために。


過去を、知るために。





糸が切れた。





私は、君を知っている。



知っているんだ。


絶対に、知っている。


絶対。


絶対。


だから、言わせてほしい。


君の名前は...




「か...、か...、かば...!!」














「なんだってぇ...、あたしがぁ...、いちばん...」


聞こえたのは、カラカルの寝言だった。


横には、キュルルが寝ている。


「・・・」


空を見ると、星空が広がっていた。


また、あの子の夢を見た。


私はあの子を知っている。

あの子も私を知っているのに、

私はあの子を知らない。


もしかしたら・・・。

あの子を、私が作っているのかもしれない。


考えたら、キリがない。


綺麗な星空に向かって、人さし指を向けた。


「あれが・・・」


気まぐれでゆっくりと、なぞった。


誰かに、教えてもらった。

星をつないで、出来た絵を星座って言うんだって。


あの形、どこかで見たことがある。

あの、星座は・・・。





















「・・・かばん座」

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